(1)OxyRは6個のシステイン残基を含んでいる。このうち199番目と208番目のシステイのSH基が酸化されS-S結合を形成することによって活性化することを明らかにした。酸化ストレスは一過性であり、活性型OxyRは細胞内の過酸化水素濃度が減少するとチオレドキシンやグルタレドキシンによって還元型に戻る。(2)MutM、Nth、Neiおよびそれらのホモログの持つ重要な基質認識能について解析した。NthやNeiにはピリミジン酸化体だけでなく8-オキソグアニンを除去するOgg2活性が備わっていること、この活性によってG:C->C:Gトランスバージョンが強い抑制を受けていることを明らかにした。(3)mutM遺伝子を持つpKK223-3-MutMを用いてIPTGでMutMを過剰発現をさせた場合、野生株もmutMnthnei三重欠損株もIPTG非処理よりも放射線感受性が高くなった。これらの結果、DNAグリコシラーゼによって、向かい合った損傷塩基がともに切断され、クラスター損傷が致死的損傷である二重鎖切断に変わる可能性が示唆された。(4)ヒト培養細胞のHeLaS3に、核に局在するhOGG1type1aと、ミトコンドリアに局在するhOGG1 type2aとをそれぞれ過剰発現させた細胞株を作製しそれらのガンマ線感受性を調べた。結果はどちらのhOGG1の過剰発現細胞株も通常のHeLa細胞よりもガンマ線に対して高い感受性を示した。γ-H2AX fociを指標とした二重鎖切断定量実験によって、過剰発現されたhOGG1 type1aの作用によりクラスター損傷から二重鎖切断が誘導されたことを示唆する結果が得られた。
|