研究課題/領域番号 |
15310043
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研究機関 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(共通施設) |
研究代表者 |
渡邉 肇 大学共同利用機関法人, 自然科学研究機構(岡崎共通研究施設)・岡崎統合バイオサイエンスセンター, 助教授 (80212322)
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研究分担者 |
井口 泰泉 大学共同利用機関法人, 自然科学研究機構(岡崎共通研究施設)・岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (90128588)
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キーワード | エストロゲン / 化学物質影響 / 内分泌攪乱 / ノニルフェノール / DNAマイクロアレイ |
研究概要 |
環境中の化学物質は、様々な局面でヒトを含めた生物に影響を及ぼしていることが示されてきている。そうした中で、ステロイドホルモン様活性を有する化学物質の影響が問題視されて久しいが、化学物質が実際にどの程度、生理的なホルモン影響を模倣できるのかについては不明な点が多く残されていた。 本研究では、化学物質影響をゲノムレベルで明らかにすることを目的として、化学物質-核内受容体複合体がホルモン-核内受容体複合体と同様にゲノムDNAに結合し遺伝子発現を活性化しうるのかについて解析を行った。このために、ノニルフェノールをはじめとしたホルモン作用を有すると考えられる化学物質について、ゲノムレベルでの影響を明らかにするために、遺伝子発現への影響を解析した。 まず生理的なホルモンである女性ホルモン(エストロゲン)を用い、実験系の構築を行った。マウスにエストロゲンを投与して、一定時間後に子宮を摘出し複合体を架橋した後に、抗エストロゲン受容体抗体を用いて、エストロゲン受容体-DNA複合体を回収した。回収した複合体の架橋を切断し遊離したDNAを増幅する事により、エストロゲン受容体が直接に結合しているゲノム断片の同定を行うことができた。また、これと並行してエストロゲン投与後、一定時間後に子宮や肝臓を摘出し、各組織からmRNAを精製しエストロゲン投与により誘起される遺伝子発現変化について解析した。さらに、これら遺伝子発現変化を化学物質投与により誘起される遺伝子発現変化と比較を行うことによりエストロゲン作用と化学物質影響の差異について検討した。 その結果、ホルモン様作用を有する化学物質は遺伝子発現変化においても非常に類似した影響を及ぼすものの、個々の遺伝子についてはその活性化の程度が異なること、また標的臓器が異なるとその影響も異なることなどを明らかにした。
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