グリコサーマル法により調製したガンマ型アルミニウム-ガリウム複合酸化物の物性を検討し、ガリウムが選択的にスピネル構造の4配位座を占め、アルミニウムが選択的に6配位座を占めることを見出した。また、組成比の異なる一連の複合酸化物を合成し、ガリウムが4配位座、アルミニウムが6配位座をちょうど占有する組成が、メタンを還元剤とするNOの選択還元反応に最も高い活性を示すことを見出した。これより、この反応の活性点は近接カチオンがアルミニウムである4配位ガリウムと考えられた。また、酸素共存下での反応の量論を正確に検討し、1分子のメタンが4分子のNOが反応して2分子の窒素を生成することを見出した。この反応では、反応系に酸素が存在しないと反応速度は小さいため、酸素は本反応で触媒としての役割を持つことが示唆された。さらに、グリコサーマル法の反応系に少量の亜鉛を添加すると、スピネル型の亜鉛-アルミニウム-ガリウム複合酸化物が得られ、この触媒が水、酸素共存下でのNOの選択還元反応に高い活性を持つことを見出した。この触媒では亜鉛は4配位座占めることを明らかにした。比較のため、共沈法やゾルゲル法で亜鉛-アルミニウム-ガリウム複合酸化物を調製し、メタンによるNOの選択還元反応に対する触媒活性を比較検討したところ、グリコサーマル法で合成したものが最も高い活性を示した。この原因は、共沈法では結晶化温度が高いため、高温での焼成を必要としこのため、低い表面積しか持たないこと、一方、ゾルゲル法で調製した触媒は、X線的にはスピネル構造を示し、比較的高表面積を持つものの、試料の均一性が悪いことが示された。これに対して、グリコサーマル法で合成した触媒は高表面積を持ち、しかも、カチオン分布が均一であるため、メタンによるNOの選択還元反応に対して高い活性を持つものと考えられた。
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