研究課題
本年度は、ヒ酸を亜ヒ酸に還元する能力を有するBacillus sp.SF-1を利用した新たなヒ素汚染土壌浄化のバイオレメディエーションプロセスの構築を目的として実験を行った。セレン酸塩還元細菌として分離されたBacillus sp.SF-1株が、ヒ酸塩を嫌気呼吸の電子受容体として還元できることを明らかにするとともに、既往の菌株に比べて優れたヒ酸塩還元能を有することを明らかにしていた。またSF-1株は、ヒ酸塩還元に際して比較的多様な炭素源を利用可能であり、厳密な嫌気条件下を保つ必要がないことから、本菌株がヒ素汚染土壌のバイオレメディエーションプロセスに適用する上で有用な特性を持つことを明らかにした。SF-1株によるヒ酸塩還元酵素の特性について検討したところ、本酵素が不溶性の膜結合型酵素であることが明らかになり、SE-1株が少なくとも、ヒ酸塩、セレン酸塩、硝酸塩それぞれの基質によって独立に誘導される別個の還元酵素を有していることが示唆された。また、セレン酸塩や硝酸塩が共存する場合でも、本菌株によるヒ酸塩の還元が阻害されないことが明らかになった。さらに、SF-1株が多様な固相中のヒ酸塩を還元により液相中に抽出できることを実証し、本菌株を用いたヒ素汚染土壌のバイオレメディエーションプロセスの構築が可能であることを明らかにした。この結果に基づき、本菌株を用いた土壌汚染バイオレメディエーションプロセスとして、回分式スラリーフェイズリアクター及び連続式土壌充填カラムリアクターを提案し、ラボスケールのリアクター実験通して、その有用性を確認した。
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Chemosphere Vol.58(No.6)
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