研究概要 |
本研究ではマイクロ波放電と光プロセスを用いた大気汚染物質除害装置を開発を行った。マイクロ波放電による研究ではマイクロ波吸収剤としてC,Zr,Wを一本又は二本使用すると、大気圧、100〜200Wで放電を維持できた。吸収剤を二本用いた場合の方が一本の場合と比較して、高いNO分解率が得られ、最大NO分解率はC,Zr,Wに対して97,85,65%であった。マイクロ波吸収剤は電子放出能以外にNO分解の還元剤の役割を果す。本研究より高いNO分解率を得るためにはCを吸収剤として使用するのが一番有利であることがわかった。 大気圧窒素・空気中でのArFエキシマーレーザーによるN_2O,NO_2の光分解プロセスの研究開発を行った。その結果、高価な触媒を用いることなく、N_2Oを大気圧窒素・空気中で無害なN_2とO_2に高効率、高分解処理が可能なことがわかった。実用に有利な低濃度(1%以下)のN_2Oの光分解を行った結果、193nm光照射15分でほぼ完全にN_2Oを分解することができ、放電法とは異なり、空気中でも有害なNOは全く生成しないことがわかった。本研究により、実際に排出されるppmレベルの低濃度N_2Oの光分解処理に対して193nm光を用いた光プロセスがより有効なことがわかった。 また大気圧でのArFエキシマーレーザーによるNO_2の分解プロセスを研究した。窒素中ではNO_2濃度を200-3000ppmまで低くすることで、有害なNOの生成を抑制し、無害なN_2,O_2まで分解可能なことを見出した。またNO_2濃度100ppmの空気中では、O_3の生成が生成し、その酸化力を用いて、NO_2をNO_3を経てN_2O_5へと転換可能であることが判明した。水に不溶なNO_2とは異なり、N_2O_5は水に溶けて硝酸として処理可能なために、193nm光を用いた本手法は、新たな選択的NO_2除去法として期待できる。
|