研究課題/領域番号 |
15310062
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
岸 肇 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教授 (60347523)
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研究分担者 |
村上 惇 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (60047610)
松田 聡 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教授 (40316047)
白石 信夫 京都大学, 名誉教授 (70026508)
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キーワード | バイオマス / 液化 / エポキシ樹脂 / 木材 / 繊維強化 / 複合材料 / 植物繊維 |
研究概要 |
本研究は、木質バイオマスを原料として用い高付加価値な樹脂を新規に合成すること、ならびに該樹脂をマトリックスとし、天然材料を強化繊維とする環境適合性の高い複合材の創出を目的とする。 H15年度の研究成果として、レゾルシノールを反応溶媒として選択し木材液化を行った後、該液化木材を樹脂前駆体と捉え、液化木材が有する水酸基にエピクロロヒドリンを付加反応させることにより、液状の木材エポキシ樹脂を合成できた。この木材エポキシ樹脂をジアミノジフェニルメタンにて硬化した樹脂板は市販エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)と同等以上の室温弾性率を有し、繊維強化複合材料用樹脂として有望と判断した。但し、硬化樹脂強度が市販樹脂の5割程度との課題があった。 そこでH16年度の研究を引き続き行い、以下の成果を得た。まず、従来の木材液化工程の不均一性に着目し、木粉と液化溶媒(レゾルシノール)との固相混合を液化前工程として行うことにより、木材液化時間を従来の5時間から1.5〜2時間程度に短縮させ得ることがわかった。その際、単なる液化時間の短縮に留まらず、得られる液化木材中の水酸基含有量が従来比で増加することが知られ、このことがエポキシ樹脂としての官能基増加、硬化樹脂の架橋密度向上をもたらすことを見出した。結果として、該木材エポキシ硬化樹脂の強度は市販エポキシ樹脂と同等以上に達し、複合材料用マトリックス樹脂としての高ポテンシャルを有する樹脂を木質バイオマス原料から創出することに成功した。 さらに、植物繊維(亜麻繊維)を強化材とする天然繊維強化複合材料の調製に取り組んだ。前記木材エポキシ樹脂を未硬化状態でフィルム化し、亜麻繊維からなる不織布を挟んだ後に、ホットプレスを用いて含浸・硬化させることにより複合材を得た。破断面観察の結果、亜麻繊維への木材エポキシ樹脂の接着性は市販エポキシ樹脂より優れることが知られた。 以上の検討により、強化繊維と熱硬化マトリックス樹脂の両構成要素ともに植物バイオマスを主成分とするバイオマス複合材料を創出した。
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