研究概要 |
ダイオキシン類等の難分解性物質の水中及び底泥中における挙動を明らかにするため、まず測定手法と精緻な測定技法の獲得について検討した。底泥中のダイオキシン類については公定法を基礎とする測定において、とくに底泥中のイオウ成分による妨害除去を目指した測定手法を開発し、湿潤状態の試料であっても高速溶媒抽出が効果的であることを明らかにした。また同時に、Ahイムノアッセイによる測定の簡易化について検討し、簡易な前処理法との併用により公定法と極めて相関が高い結果が得られることを示した。さらに、水中の17B-エストラジオールやビスフェノールAについてELISA法による簡易測定法について検討し、GC-MS等の機器分析と比較しても低濃度域から高濃度域までの広範囲について信頼性の高い測定値が得られることを示した。このような測定法に関する精緻な検討を行ったうえで、河川底泥中のダイオキシン類について、粒径分布ごとの含有量を調べた。その結果、20μm以下の画分においても総量の43%が存在し、その内の534%が1,2,3,7,8-PeCDDと2,3,7,8-TeCDDであった。また、1μm以下の画分においても総量からすると少量であるが少なからずのダイオキシン類が検出された。この結果は、ダイオキシン類を含む底泥の浚渫においては流出水中の小粒径の底泥についても十分な注意が必要であることを示している。また、底泥に含まれる有機物量とダイオキシン類との間には高い相関が見られ、小粒径の底泥ほど有機物含有量が高いことから、ダイオキシン類は底泥の有機物に付着すると推察され、ダイオキシン類が小粒径のものから多く検出する結果と符合した。また、土壌により類分解性物質の吸着挙動について検討を進めるとともに、底泥水中のダイオキシン類が精密ろ過(0.2μm)によりほとんど分離されることを明らかにした。
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