研究課題/領域番号 |
15310066
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
堀 久男 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 主任研究員 (50357951)
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研究分担者 |
指宿 堯嗣 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 部門長 (00356510)
永長 久寛 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 研究員 (90356593)
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キーワード | パーフルオロ酸 / フッ素 / 光触媒 / 分解 / パーフルオロオクタン酸 / 界面活性剤 |
研究概要 |
パーフルオロ酸類は多くの産業用途に用いられてきたが、近年これらの一部が環境水や生物中に検出されている。従って環境中の蓄積を抑制し、生態系への影響や健康被害の発生を未然に防止するためにはこれらの固定発生源からの漏洩防止と共に廃棄物の分解・無害化を行う必要がある。今年度は強い酸化力を有するポリオキソメタレートH_3PW_<12>O_<40>を光触媒として用い、代表的なパーフルオロカルボン酸類であるペンタフルオロプロピオン酸(C_2F_5COOH;PFPA)およびノナフルオロペンタン酸(C_4F_9COOH;NFPA)のフッ化物イオンへの分解を試みた。光反応はH_3PW_<12>O_<40>を添加したパーフルオロカルボン酸水溶液に、酸素下で高圧水銀灯から紫外・可視光照射して行った。液相中の化学変化はイオンクロマトグラフィー、イオン排除クロマトグラフィーおよびエレクトロスプレー質量分析で、気相中のそれはガスクロマトグラフィーおよびGCMSで追跡した。その結果、光照射によりPFPAの濃度は減少し、気相中に二酸化炭素、液相中にフッ化物イオンが生成した。また、液相中にはPFPAからCF_2が脱離したトリフルオロ酢酸も検出された。120時間照射による反応のターンオーバー数(PFPA分解モル数/触媒モル数)は4.27であった。NFPAの場合も二酸化炭素とフッ化物イオンが生成すると同時にCF_2が脱離したカルボン酸C_3F_7COOHが少量検出された。CF_2が脱離したカルボン酸はこの分解反応の中間体と考えられ、さらに照射時間を長くすると検出されなくなった。光照射しない場合や、H_3PW_<12>O_<40>あるいは酸素が無い場合にはこれらの分解反応は起こらなかった。従ってH_3PW_<12>O_<40>が光触媒としで作用していることは明白である。NFPAの場合、313nmにおける量子収率は0.051であった。
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