研究概要 |
グラファイト、多環状芳香族化合物などの炭素系物質、さらにはニッケルまたはコバルト金属を混合した試料に連続発振およびパルス発振レーザーを照射し、ガス化蒸発させ、アルゴンや窒素ガス等の雰囲気中(1から9気圧の圧力)で凝集させることにより、グラファイト化したナノ構造粒子、多面体構造粒子などの形成について研究した。グラファイトをレーザー照射した場合、ガスの種類や圧力の違いに依存して、角状突起(直径が2から3nm)を持ったカーボンナノホーン粒子、グラファイト化がさらに進んだプレート状の多層構造からなる粒子、粒径が大きくなる(平均直径は300nm)と共に、さらにグラファイト化が進んだ多面体粒子が形成された。この多面体粒子の収率は、窒素ガス9気圧で最も向上し,90%以上を示すことがわかった.多面体粒子の内部構造を透過型電子顕微鏡で詳細に研究したところ,内部には数nm直径の楕円体構造が存在することや、多面体中心から外側に向かって結晶成長が起こることがわかった。また、多環状芳香族化合物や一部芳香環を持つ化合物に対して、ニッケルまたはコバルト金属を混合した試料に連続発振レーザーを照射した。その結果、金属を内包した多面体粒子および内包していないが、グラファイト化した粒子を形成できることを見い出した。レーザーのパワー密度やアルゴンや窒素ガス等の雰囲気によって、アモルファス状粒子、金属内包粒子、内包していないがグラファイト化した粒子の生成割合が大きく変化することもわかった。純粋なグラファィトを用いた場合のより小さな20nm程度までの粒子が得られており、グラファイト化や金属分離の機構について、さらに解析を行っている。
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