研究概要 |
当初の計画は超高真空SP-STM・MBE装置の整備・動作点検と、Cr,Fe(001)薄膜の磁気像の観察することであった。本研究を遂行するためのSTM観測・MBE法による試料作製・清浄表面評価が可能な超高真空装置の整備とその動作点検が研究初年度に終了し、その後、現在までに研究計画が順調に進み、多くの成果を挙げることができた。 具体的研究成果として、 1)Cr(001)超薄膜(<5nm)の層状反強磁性の検証 2)Cr(001)薄膜表面のステップ、らせん転位などの表面欠陥が表面磁気構造へ与える影響 3)Cr(001)上Fe(001)超薄膜の成長過程と表面準位の検証などである。 この3年間に得られた大きな研究成果は、「Cr(001)薄膜(9nm)の高密度なナノスケールのらせん状テラスの成長とスピン偏極トンネル分光法によるその磁気像の観察」らせん状テラスに特有な幾何学的な非対称から生じるスピンフラストレーションの効果をマイクロマグネティックシミュレーションによって説明した。これらの成果は米国物理学会Physical Review Letters誌に掲載された。 投稿した論文はPhysical Review Letters, Physical Review Bなど国際誌に4編、和文による解説2編の合計6編である。また国際会議招待講演2件、日本物理学会において招待講演1件、およびシンポジウム講演1件、依頼講演4件を含めて、20件の口答発表を行った。
|