研究課題
基盤研究(B)
走査型アトムプローブ(SAP)の特性を生かして炭素材料やシリコンが個々の原子のレベルで分析され、人工ダイヤモンドやカーボンナノチューブ、更にシリコンには大量の水素が含まれている事を明らかにした。また、分析を高分子であるポリチオフェンの分析結果を理論解析を進めると共に、有機分子であるクリスタルヴァイオレット(CV)やテトラブチルアンモニウム(TBA)が酸化チタンの(TiO_2)光触媒作用によりどのように分解するのかを調べた。ポリチオフェンを電界蒸発させると複数原子からなる特定のクラスターイオンとして蒸発するが、検出されるクラスターイオンがポリチオフェン内部の原子間の結合状態と密接な関連がある事を理論的に解明するために、カナダのDalhousie大学のKreuzer教授の協力を得た。その結果、絶縁性のポリマー内部の電荷が印加電界により移動するが、移動電荷量の大きい結合、つまり結合力の弱い結合が切れて電界蒸発する事が明らかにされた。TiO_2の光触媒効果を調べるために、TiO_2のナノシートを作製した。試料は、タングステンの下地の上にTiO_2層を形成し、その上にCVを付着させた。TiO_2層が無く、CVを直接タングステンの上に付着させた場合は、分解したCVのフラグメントイオンが多数検出されたが、分解しないCV分子も認められた。しかし、TiO_2層の上のCVは全ての分子が分解した。タングステン下地の上でCVが分解したのは、分析に際してYAGレーザー光の2倍波を照射したが、この波長がCVの吸収波長に近いからと考えられる。何れにしても、TiO_2の光触媒効果は紫外線領域で認めれるのか通説であるが、可視光でも起こり得る事が実証された。TBAでは、特定は長野の光を吸収しないので、少数の分子がタングステン上で分解された。今ひとつ興味ある点は、解離に際して、二重結合は安定であり、単一の窒素原子が解離して検出されない事である。以上の結果は、SAPによる有機材料の分析が原子間の結合の解明に新たな視点をもたらす事を示しており、今後は、より多様な有機分子や生体分子を解析する事を計画している。
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