研究課題/領域番号 |
15310093
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中川 晋作 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (70207728)
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研究分担者 |
堤 康央 国立医薬品食品衛生研究所, 基盤研究第二プロジェクトチーム, 副プロジェクト長 (50263306)
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キーワード | 細胞内薬物徐放 / ナノスフェアー / バイオ・ナノ・キャリア / オルガネラターゲティング / DDS / ナノ治療システム / アンチセンス核酸 |
研究概要 |
本研究では、標的オルガネラへの薬物輸送機能や細胞質内での薬物徐放化機能を有する様々な機能性ナノ担体(粒子)を新たに設計し、薬物としてのインテリジェント化機能分子(抗原蛋白質やペプチド等)を含有したこれらナノ粒子等をバイオ・ナノ・キャリアにより細胞質内へ送達することにより細胞内におけるそれら薬物の時間的・空間的・量的な動態制御を可能とし、それに基づく次世代のナノ治療システムを構築しようとするものである。本年度は、昨年度作製したポリビニルアミンナノスフェアー(NS)の表面にアンチセンス核酸を吸着させる条件を確立し、NS1粒子あたり約4万分子のオリゴヌクレオチドが吸着することを明らかにした。そのアンチセンス核酸吸着NSの物理化学的特性を評価した上で、その情報に基きバイオ・ナノ・キャリアに封入し、細胞質内へ導入することで、細胞質内薬物徐放化システムの構築を試みた。その結果、バイオ・ナノ・キャリアを用いることでアンチセンス核酸吸着NSを細胞質内に導入できること、細胞質内に導入されたNSからアンチセンス核酸が徐放され、細胞質全体に拡散している像を観察することに成功した。また、新たに薬物徐放化機能を有するアルギン酸ゲル粒子を封入したバイオ・ナノ・キャリアの作製法を確立し、先と同様、細胞質内に導入されたアルギン酸ゲル粒子からの薬物徐放を確認した。 一方、標的オルガネラへの薬物送達、即ちオルガネラターゲティングによる薬物治療の最適化を目指し、小胞体移行シグナルを用いたナノ治療システムの構築を試みた。その結果、小胞体移行シグナルを付加した抗原をバイオ・ナノ・キャリアを用いて抗原提示細胞の細胞質内に導入することにより、効果的な抗原提示が達成できることを明らかにした。 以上の研究成果より細胞内での薬物の時間的、空間的制御によるナノ治療システムの一端を構築できたものと考える。
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