研究課題/領域番号 |
15310098
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
玉田 薫 独立行政法人産業技術総合研究所, 光技術研究部門, グループ長 (80357483)
|
研究分担者 |
原 正彦 独立行政法人産業技術総合研究所, 理化学研究所, チームリーダー (50181003)
宮崎 健太郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 光技術研究部門, グループ長 (60344123)
石井 則行 独立行政法人産業技術総合研究所, 光技術研究部門, 主任研究員 (10261174)
|
キーワード | ジェミニ型分子 / キラル認識 / 光学分割 / 表面プラズモン / 自己組織化膜 / チオール / 酒石酸 / 四級アミン |
研究概要 |
4級アミン界面活性剤をアルキルスペーサーで結んだ『ジェミニ(双児)型ジカチオン分子』は、4級アミン間の距離の制御により様々な分子集合体の形成を可能にし、コロイド分散系の分野において注目を集めている。本研究では、このジェミニ型分子のチオール誘導体を新規に合成することにより、ジェミニ型分子の特長を活かしながら固体表面・ナノ微粒子表面へと導入し、新しい機能性分子の創製を狙うものである。本年度の成果は以下の通りである。 1.ジェミニ型チオール誘導体の合成と評価:ジェミニ型四級アンモニウム基(直列に結合した2個のアンモニウム基)が1本鎖の末端にある新規チオール誘導体を合成し、金単結晶上に自己組織化膜を形成した上、従来のジェミニ型分子からなる自己組織化膜との物性の違いについて、反射赤外分光法(FTIR-RAS),表面プラズモン分光法(SPR)、X線光電子分光法(XPS)等で確認した。その結果、分子鎖中の電荷量の増加により膜密度が低下する傾向が確認された。 2.自己組織化膜表面におけるキラル分子吸着状態の評価:金表面に形成したジェミニ型自己組織化膜表面にL-D-あるいはメゾ-酒石酸を吸着させ、その膜構造の違いをFTIR-RAS及びSPRにより評価するとともに、それぞれの表面上へキラリティの一致する同種分子が優先的に共着することを実験的に確認した。 3.効率のよい蛋白質の精製法の確立:酒石酸類似化合物のD、L体を特異的に認識し結合できる酵素蛋白質として、イソプロピルリンゴ酸デヒドロゲナーゼ(IPMDH)を精製処理し、ジェミニ型チオール誘導体上にイソプロピルリンゴ酸(IPM)を固定化した基板上への酵素蛋白質の吸着挙動をSPRにて検討した。非特異結合と特異結合の識別等の詳細は今後の課題であるが、表面の作製法、酵素蛋白質の取り扱い、SPRによるその場観察法については今期確立することができた。
|