研究課題
基盤研究(B)
本研究では、無線情報通信に用いる送受信機の格段の性能向上と、小型1チップ化を図るため、半導体技術を援用したマイクロ・ナノ加工によりGHz帯の振動子を作り、真空トンネル電流検出もしくは静電結合検出により、その微小な振動を高感度に検出する方法を研究した。まず、近年急速な発展を遂げているマイクロマシーニング技術に着目し、これを用いて10〜100ナノメートル級寸法のシリコン振動子を作り、高性能無線送信機に必要なGHz帯の共振周波数の実現を試みた。この目的で刀形の振動子に静電検出を組み合わせたデバイスを用い、寄生容量を通じた結合を抑制する変調検波測定を行った。さらに微細加工により、静電駆動用のギャップを数10nm程度に縮めることで、高周波回路の低電圧を加えただけで励振を行えるようにした。基本モードが1.104GHz(Q=180),第二次共振モードが2.5GHz(Q=62)の振動を実現した。一方、振動子を小型化すると振動振幅も小さくなり、検出方法が問題となる。このため微小な変位の検出が可能はマルチモード原子間力顕微鏡(AFM)を非接触モードで用いて、静電駆動シリコンブリッジ型振動子(共振周波数10MHz程度)の機械共振特性を測ることを試みた。この結果、0.1nm級の振動を検知することに成功した。追加実験として、走査トンネル顕微鏡(STM)モードでの検知も検討する予定である。さらに、真空トンネル電流が0.1nm程度のギャップ変化に応じて一桁増減する現象に着目し、既に実証済みのマイクロマシン応用トンネル電流センサと微小共振子、ナノ駆動用アクチュエータを一体化したデバイスを作り、超高感度の振動検出を試みた。本デバイスを超高真空の透過型電子顕微鏡中で動かし、振動特性を可視化観察した。共振周波数263kHzで、1nm以下の振動が観察できた。更にナノ駆動静電アクチュエータによりトンネル検出用プローブを共振子に近づけ、両者の間隔を1nm程度に縮められること、駆動精度は0.1nm程度であることを確認した。トンネル電流検出用の電子回路の特性が不十分で、トンネル電流による振動検出には至らなかったが、原理的に本検出方式の適用が可能なデバイスを得ることができた。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (10件)
Applied Physics Letters Vol.86,No.21(論文番号)
ページ: 213104
Transducers'05,Seoul,Korea,June 5-9,2005 Vol.1
ページ: 2023-2026
The 7th conference of the IEEE Design,Test,Integration and Packaging(DTIP)of MEMS and MOEMS,Montreux,1st-3rd June 2005
The 18th International IEEE Micro Electro Mechanical Systems Conference,Miami Beach,FL,USA,Jan.30 -Fed.3,2005
ページ: 121-124
Applied Physics Letters,(selected for the May 30th 2005 issue of the Virtual Journal of Nanoscale Science & Technology) Vol. 86, No. 21
ページ: Art.No.213104
Proc. of Transducers 2005, Seoul (Korea), June 5-9, ORAL Vol. 1
Proc. Of the 7th conference of the IEEE Design, Test, Integration and Packaging (DTIP) of MEMS and MOEMS, Montreux, 1st-3rd June, ORAL
Proc. of the 18th International IEEE Micro Electro Mechanical Systems Conference, Miami, Jan.30- Feb.03, POSTER
French Science And Technology Workshop,Tokyo,Japan
French Science And Technology Workshop, Tokyo, Japan, November