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本研究の目的は、微小Josephson接合の1次元配列を静電容量によって2本結合させた素子において、研究代表者が見出したCooper対の帯電効果に基づく直流電流の転写現象(量子電流ミラー効果)の研究を進展させることである。特に、この効果の物理的な機構を明らかにすること、また、この効果が素電荷レベルでの相関効果であると考えられることから、微小電流の高精度転写や増倍への応用可能性を探ることが目標である。
本年度は、第2年次であり、1.素子長の異なる接合列間の電流ミラー効果を確認した。これは、この効果が、単に類似特性をもつ接合列間の電流の結果的な類似ではなく、伝導担体間の相関効果による電流の転写効果であることをより明確に裏付けるものであると言える。また、この結果は電流2倍素子の動作の基礎になるものである。2.より小さな接合寸法の素子を作製するため、レジスト/Ge/レジストの3層構造の蒸着マスクを使った素子作製プロセスを開拓した。3.電流ミラー効果の機構を明らかにするために、実験で用いている斜め結合の電流ミラー素子について、伝導担体が単一電子である場合のモンテカルロ・シミュレーションによる動作特性の予測を行った。結果として、伝導担体が単一電子である場合には、微小Josephson接合からなる素子についての実験結果を十分に再現できないことがわかった。これは、微小Josephson接合からなる素子における電流ミラー効果に、超伝導の位相コヒーレンスが重要な役割を果たしていることを示すものと解釈できる。
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