研究概要 |
これまでの研究において,与えられた地域の任意の2点間の距離の分布については,理論的にも数値計算でも一様な直線を介して求めればよいことがわかっている.これをもとに道路網を移動する場合の「時間分布」は,混在時に問題を残すものの,ある程度正確に求めることができる.しかし,これが道路網ほど密ではない鉄道網を用いる場合については,理論的にも,数値計算の上でもやり残していることが多い. そこでまず本年度は,前年までに得られた一様乱数100点を用いた計算による,関東地方の鉄道による空間拡大効果(時間短縮効果)の計算方法や得られた結果を検討した.その結果,点の数に関して,もう少し理論的に追求すること,および東京23区内における平面近似,の2つにつき,重点を置いて研究を進めた. 前述の点の数が100の場合,2点をとる組合わせは5,000個弱で,この数では東京23区内に選ばれた点は限られる.空間の物理的性質を問題にする大局的議論ではこれでいいのだが,人口密度等を考慮する段階になると,東京都区部について別な議論が必要かどうか,この点についても考えなければならない. そこで,前述の関東地方の鉄道効果の計算における鉄道網について,もっと詳しく鉄道網の整備をすることと,人口のデータを少なくとも23区内は町丁別で入れられるように前年までの研究に改良を加えなければならないことがわかった. 現段階では上記鉄道のデータと人口データの整備は,ほぼ終了しており,これを用いて計算すれば上記疑問のいくつかについて明確な結果を出すことができると考えている.
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