研究概要 |
リモートセンシング技術の発達により,都市部における災害危険度評価や自然災害による被害把握に利用する試みがなされてきている.とくに地震等の災害直後における早期被害把握は,緊急対応や応急復旧計画の立案のためにきわめて重要である.2001年10月に打ち上げられた商業用人工衛星QuickBirdは,最大で0.6mの地表分解能を持ち,都市部の画像では構造物の形状が詳細に識別できる.したがって,災害直後にこれらの高解像度衛星画像を利用し,建物や土木構造物の被害を把握することができると考えられる. 本研究では,2003年12月26日に発生したイラン・バム地震のバム市一帯を撮影したQuickBird衛星画像を用いて高解像度衛星による被害把握について検討した.まず地震前の画像を用いて,建物中心位置をGIS上に落とした.次に,地震前後の二時期画像を目視で比較し,ヨーロッパ・マクロ・地震スケール(European Macroseismic Scale)に従って,5段階の被害区分に分類した.目視判読によって作成した被害データと地上調査データを比較した結果,多少の誤判読や全体的に被害ランクを低くみてしまうという,衛星画像による判読では必ず出てしまう傾向はあったが,広範囲における災害時の被害状況の把握といった面では,有効性の高い情報収集の手段であることがわかった.今後,衛星画像を用いた被害自動判読法の検討や,災害における衛星画像を用いての検討などを行っていきたいと考えている
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