研究概要 |
本研究は、高密度で混雑した状況における歩行者の行動をモデル化し、それをシミュレーションで再現できるようにすることを主たる目的とする。本年度は3年計画の2年目である。 大佛とそのグループは、従来から研究を行ってきた心理的ストレス(他者ストレスと目的地ストレス)をベースとする歩行モデルをさらに発展させ、個人をベースにしたモデル化によっても、群衆流動の特徴である歩行集団の形成が表現できることを確認し、その結果を2つの国際会議で報告した(研究発表1,2)。 山田とそのグループは、昨年度、移動体通信システムの性能評価を行うための比較的簡易な歩行モデルを構築し、駅を中心とした数キロメートル四方の領域における移動体通信の呼損率等を求めるためのシミュレーションプログラムを開発したが、今年度はさらにシミュレーション経過をビジュアルに検討できるように改良した。この結果は国内ばかりでなく国際会議においても発表することが予定されている(研究発表3,4)。 高橋とそのグループは、高密度下における歩行モデルの改良をさらに推し進め、またグループ歩行モデルの前段階としてペア歩行についてモデル化し、シミュレーション実験を行った。その結果、ある程度のものはできつつあるが、ペア歩行をモデル化するには単独歩行におけるモデル化をさらにリファインする必要があることが判明し、それらを同時並行的に研究を進めている(研究発表5)。また、通信システムへの応用ということで、アドホックネットワークへの応用研究を開始した(研究発表6)。
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