研究概要 |
本研究は,高密度で混雑した状況における歩行者の行動をモデル化し,それをシミュレーションで再現できるようにすることを主たる目的とする。本年度は3年計画の最終年である。 大佛とそのグループは,従来から研究を行ってきた歩行モデルをさらに発展させ,都市内における歩行者のグロス密度を求める研究(研究発表2),および歩行者がスムーズに目的地に辿り着けるための案内図生成モデルに関する研究を行った(研究発表1,3)。 山田とそのグループは,昨年度来行ってきた,移動体通信システムの性能評価を行うための歩行モデルをさらに改良し,国際会議において発表した(研究発表4,5)。 高橋とそのグループは,高密度下における歩行モデルの改良をさらに推し進め,とくに歩行者の対向者に対する行動予測をモデルに取り入れることにより,ペア歩行モデルとグループ歩行モデルを構築した。これらは単独歩行者のみを対象とした従来のモデルに対し,歩行者密度が低いときにはグループの仲間と横に並んで歩く傾向を取り入れ,混んできたときには状況に応じてグループ歩行を一時的に解除することで,自然な歩行を行うよう工夫したものである。さまざまな条件下でシミュレーション実験を行い,グループ歩行者の存在が対向者を避けるための迂回により歩行流における歩行距離を増大させ,平均歩行速度を無視できない程度に低減させる(たとえば歩行者密度が0.8人/m^2のとき約20%)ことを確認した(研究発表6)。
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