研究概要 |
研究2年目にあたる本年度は,昨年度に引き続き,典型的な非理想爆轟挙動を呈する産業爆薬として,硝安油剤爆薬(ANFO)を試料とし,衝撃波レンズを用いた平面衝撃起爆を行った際の,エネルギー入射から起爆に至るまでの試料内圧力履歴および,衝撃波通過時間の実時間計測を行った。 特に,超高速度カメラを用いて定常爆轟伝播中の爆轟波面の曲率を測定し,爆轟波面の曲率に関する情報から,爆轟パラメータと反応率との相関について考察を行った。これらの結果をナノ秒オーダーでの計測が可能なマンガニン圧力センサーによって測定した圧力履歴と比較を行い,爆轟波の2次元構造に関する情報を得た。 また,硝安と活性炭粉末を混合した組成物を作製し,爆発燃焼特性ならびに衝撃波起爆時の爆轟特性について検討した。さらに,CHEETAHによる熱化学平衡計算による理論値と比較を行い,物理的特性ならびに化学的特性が爆轟挙動に及ぼす影響について考察を行った。これらの成果は,次世代のエアバッグやロケット推進薬として硝酸アンモニウムを用いる際の性能および安全性の検討に不可欠な情報となる。 次年度は最終年度となるため,エネルギー物質への衝撃エネルギーの付与による反応開始から,反応進行,定常爆轟に至る超高速のプロセスを,高分解能ピエゾ抵抗圧力素子を利用した計測システムにより爆轟速度,圧力に関する実時間計測を行い,計測結果の現象解析と超高速度カメラおよび高速度ビデオ撮影による凍結画像により確認し,それらを基に極限反応の機構に関する分子論的解釈とモデルの確立を試み,その上でリスクアセスメントシステムへの導入を図る予定である。
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