研究課題
基盤研究(B)
本研究では、円滑なモノの流れを作るための情報チェーン(情報のやりとり)に着目し、実際の企業3社について実地調査を行うことで、現状の情報チェーンについて分析すると共に、そのモデル化の方法を検討した。複数の企業間にまたがるモノの流れには、一般に物流、商流、情報流がある。この中で、情報流はモノを円滑に運搬し、在庫を過度に増やさずに品切れ状態を生まないよう管理するために極めて重要である。本研究では、実際の複雑な情報チェーンについてモデル化の手法を提案することで、その本質を見極め、あるべき姿を議論するための基礎的方法を構築した。実際の企業の現場調査に基づき、手法の有効性を議論すると共に、物流現場における情報チェーンの現状をモデル化し、企業間で比較検討している。また、最近注目を集めているUMLに基づくモデリング手法を取り上げ、UMLによってモデル化された物流プロセスの構造を分析する手法を提案した。ここでは、クラス図やオブジェクト図を数量化し、数量化理論を用いて情報項目の類似性を測り、適切にグルーピングする方法を提案し、評価している。さらに、物流の一般的なモデルについて、その本質的な性質を解析するために、情報理論の枠組みを導入し、エントロピー基準を用いたモデルの最適化法を提案、情報理論における情報源符号化の方法と比較検討した。最後に、今後の物流、ロジスティックス業界の課題などを抽出するため、専門家アンケートを行い、分析を行った。これにより、実務に携わる専門家が持つ将来予想の概要が明らかとなった。以上のように、本研究ではトップダウン的アプローチとボトムアップ的アプローチをバランス良く行い、実務と理論の双方から一定の成果を得ることができた。
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すべて 雑誌論文 (20件)
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