研究課題/領域番号 |
15310129
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
釜井 俊孝 京都大学, 防災研究所, 助教授 (10277379)
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研究分担者 |
関口 秀雄 京都大学, 防災研究所, 教授 (20027296)
松波 孝治 京都大学, 防災研究所, 助教授 (70027291)
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キーワード | 斜面災害 / 谷埋め盛土 / 都市域 / 災害予測 / メカニズム / ハザードマップ / 地すべり / 宅地 |
研究概要 |
首都圏中心部の関東ローム台地において、宅地盛土の地震応答、間隙水圧応答の観測事例は極めてまれである。地盤の非線形応答に至る強震事例そのものが数十年に1回という事象であると同時に、山の手の造成地には強震計及び間隙水圧計がほとんど設置されていないためである。そこで、東京都南部の目黒区中根(強震動)と世田谷区等々力(強震動、問隙水圧)に観測点を設置し、連続観測を行った。両観測点間の距離は約2kmである。中根観測点は標高約35mの武蔵野台地上、等々力観測点は中根観測点から続く武蔵野台地に付属する谷埋め盛土上に位置する。等々力観測点は地表から約9mまで軟弱な盛土及び自然谷埋め堆積物であり、旧谷底には武蔵野礫層が確認されている。地下水位は地表面下約3mである。 これまで観測された最大の強震動は2005年7月23日の千葉県北西部地震(M6.0)によるものである。最大加速度は、中根観測点で104cm/s/s、等々力観測点で57cm/s/sであった(いずれもNS成分)。すなわち、谷埋め盛土上の応答が台地上の応答よりも小さかった。更にこのとき、間隙水圧では典型的な非線形応答が見られた。これは、間隙水圧応答が弾性レベルに止まっていた比較的小さい地震(例えば、2005年2月16日の地震、2005年8月16日の宮城県沖地震)においては、等々力観測点観測点の応答は中根観測点の応答と同等かやや上回っていた事と対照的である。 こうした応答の傾向を詳しく検討するため、FLUSHによる解析を行った結果、谷埋め盛土上では非線形応答により加速度が減衰する現象を再現する事ができた。また、台地上で10cm/s/s程度の応答となる小規模な地震では、谷埋め盛土での減衰が発生しない事も確認した。これらは同時に、現実には正確な把握が難しい減衰率ηのせん断歪みγ依存性が、応答に大きな影響を及ぼすことを示唆する。
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