研究概要 |
まず,これらのハザードマップを普及させるために国土交通省に働きかけて関係省庁の協議の下で,高潮・津波ハザードマップ普及委員会が発足し,研究代表者の河田が座長に就任したほか,今村,片田が委員として参画した.そして審議の結果,自治体がこれらのハザードマップの作成に当って何が障害となっているのかが調査によって明らかにされ,これを解決するための具体的な方法が詳しく記述されたマニュアルが2005年4月に発行されることになった.そこでは,絵文字をはじめ,推奨されるべき印刷の色についても統一的に取り扱う必要性が新しく盛り込まれた.これと軌を一にして,平成17年度に国土交通省が自治体の津波ハザードマップ作成に補助金を出し,一気に普及に乗り出すことになった.複数のハザードマップを同一紙面上に記載する案は,住民に複雑すぎることから,将来のインターネットの普及を見込めば,動画による提供が現実的であるという結論を得た.これによれば,地震発生とほぼ同時に自主的に避難することの重要性が視覚的に理解することが可能となって,自主避難の早期立ち上げが被害軽減に寄与することが多くの住民に理解できると考えられた.そして,ハザードマップが現行のように,主として住民の避難に活用されると言う消極的な扱いから,津波被害想定結果を前倒しにして,被災前に被災後の都市計画を用意しておくことの重要性を提案できた.これを受けて,2004年12月26日に発生したスマトラ沖地震によるインド洋大津波災害に端を発したわが国の津波防災対策の見直しが研究代表者河田を委員長に設置され,その提言内容に本研究成果が用いられ,2005年3月に閣議に提出・承認された津波防災のロードマップとなった.
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