研究概要 |
まず、津波ハザードマップでは、体験型学習,住民参加型ハザードマップ作成,避難訓練が地域住民にどのようにして災害を認知させ,それが知識化し,どの位の期間まで記憶化されるのかを現地調査した.体験型学習経験者は現象に関する知識に対する理解度は高いが、防災対応や行動に関しては,体験の有無の差が無く,教育内容に工夫の余地があることがわかった。つぎに、高潮・洪水ハザードマップに関しては、台風9918号の高潮被害を受けた不知火・松合地区,土砂災害が発生した水俣市および近年重大な被災を受けていない熊本市の3つの地区を対象とし住民意識のアンケート調査を行った.その結果,住民は災害時にはより正確に情報が伝達することを強く求めているが,その希望伝達手段は地域によって異なり、ハザードマップを見たことのある人は約4割を占めるが,詳細に見た人は僅か10%程度と少なく,住民の意識啓発の必要性が伺えた.津波・洪水ハザードマップに関しては、三重県尾鷲市を対象に、東南海地震時の動的ハザードマップを試作し、実際に市民に公開してその効果を確かめたところ、従来よりも格段に避難行動の支援効果が見出された。これらの成果から、津波・高潮・洪水ハザードマップは、GIS(防災地理情報システム)の援用の下に統合可能であるが、そこにはそれぞれの災害特性を体験学習のように、事前にどのように理解するかが重要であることがわかった。
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