純化した始原生殖細胞を用いた網羅的EST解析種間比較による生殖細胞共通基盤を構成する遺伝子の探索

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15310133
• 研究機関: 岡崎国立共同研究機構
• 研究代表者: 田中 実 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (80202175)
• 研究分担者: 阿部 訓也 理化学研究所, 動物変異動態解析技術開発, チームリーダー (40240915)
• キーワード: 生殖細胞 / EST / 網羅的解析 / メダカ / 生殖腺形成 / 性決定分化

研究概要

数個の生殖細胞と体細胞からライブラリー作製をまず行った。いくつかのプローブによるライブラリーの検定とパイロット的な塩基配列決定を行い、ライブラリーの質とPCRによるバイアスとを評価した。この過程で、明らかなPCRによるバイアスと思われる特定cDNAの出現以外に、細胞ごとの分化状態の揺らぎと思われる発現遺伝子の差がプローブによるサザンハイブリダイゼーションから見えてきた。従来の組織単位や数万個の細胞を単位としたRNA抽出では平均化されてしまい見いだされなかった事実である。確実に光る生殖細胞を数個単離するため、胚細胞を培養皿に分散させ、新たに導入した蛍光倒立顕微鏡で、発生中の生殖細胞の形状と光り方の確認を行った。また導入したミクロトームを用いて胚の切片を作製し、同様に生殖細胞の形状を調べた。以上の過程により、単離した数個の光る細胞が、形態的には生殖細胞であることが改めて確認された。
数個の細胞間の揺らぎも含めて、大規模に塩基配列を決定するライブラリーの選別評価を十分に進めるため、更に約100近いライブラリーを作製して検定評価を行い、生殖細胞移動期のステージ23と生殖腺形成期のステージ33のライブラリー3-4個を選別した。
現在更に予備的な約1-2万の塩基配列決定を行いつつあり、PCRによるバイアス、ゲノムの混入などの評価を進めているところである。

研究成果

• [文献書誌] Sasado, et al.: "Mutations affecting early distribution of primordial germ cells in Medaka (Oryzias latipes) embryo"Mechanism of Development. in press. (2004)
• [文献書誌] Morinaga, et al.: "Mutations affecting gonadal development in Medaka, Oryzias latipes."Mechanism of Development. in press. (2004)
• [文献書誌] Naruse, et al.: "A Medaka Gene Map : The Trace of Ancestral Vertebrate Proto-chromosomes Revealed by Comparative Gene Mapping"Genome Research. in press. (2004)
• [文献書誌] Okubo, et al.: "Conserved physical linkage of GnRH-R and RBM8 in the medaka and human genome."Gene. 314. 121-131 (2003)
• [文献書誌] Ara, et al.: "Impaired colonization of the gonads by primordial germ cells in mice lacking a chemokine, stromal cell-derived factor-1 (SDF-1)."Proceedings of the National Academy of Science, USA. 100. 5319-5323 (2003)
• [文献書誌] Sagatani, et al.: "Identification of cis-regulatory elements in the mouse Pax9/Nkx2-9 genomic region : Implication for evolutionary conserved synteny."Genetics. 165. 235-242 (2003)
• [文献書誌] Kinoshita, Tanaka: "Transgenic medaka as a model for fish biology and aquaculture. "Aquatic Genomics-Steps Towards a Great Future""Springer Verlag. 320 (2003)