研究概要 |
本研究は、リボソームタンパク質(RP)遺伝子をモデルとして、イントロンの機能と進化およびイントロンにコードされた機能性低分子RNAとの関わりを明らかにすることを目的とする。 1.RP遺伝子データベースRPG(http://ribosome.med.miyazaki-u.ac.jp)の充実を図った。平成18年3月現在、本データベースは40種類の真核生物から集めた約4,000件のRP遺伝子に関する情報を搭載し、そのうち真核生物10種、古細菌4種、真正細菌4種の情報を公開している。 2.核小体低分子RNA(snoRNA)の情報を収集しデータベース化した。snoRNAは多くがRP遺伝子のイントロンにコードされており、イントロンの機能を解明する上で良いモデルとなる。現在、10種類の生物から集めた357個のsnoRNAに関するデータを公開している(snoOPY,http://snoopy.med.miyazaki-u.ac.jp/)。 3.ミトコンドリアRP遺伝子の構造を解析し、細胞質のRP遺伝子と比較した。両者のRP遺伝子は共通の祖先から進化したと考えられるため、イントロン挿入部位を比較することにより、イントロンの起源を知る手がかりが得られる。その結果、現存するミトコンドリアRP遺伝子のイントロンは、真核生物になってから獲得されたものであることが明らかになった。 4.ゼブラフィッシュを用いてsnoRNAをノックダウンする系を開発した。スプライシング部位に設計したモルフォリノ修飾アンチセンスオリゴをゼブラフィッシュ受精卵に注入することにより、標的snoRNAを含むイントロンのスプライシングを阻害した。これにより、ゼブラフィッシュを用いた個体レベルでのsnoRNAの機能阻害に成功した。今後、この系を用いてイントロンの機能を明らかにしていくことが可能となる。
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