研究概要 |
我々が既に同定した計9箇所の日本人2型糖尿病原因遺伝子座(1p36-p32,2q34,3q26-q28,6p23,7p22-p21,9p,11p13-p12、15q13-q21と20q12-q13)についてSNPを利用した患者対照解析を行い、2型糖尿病感受性遺伝子の絞込みを行った。染色体1番(1p36-p32)の領域についてはAMPキナーゼα2サブユニット遺伝子(PRKAA2)のイントロン2に存在するSNP(rs2051040)がインスリン抵抗性と有意に相関し(P=0.002)、rs2051040を含むハプロタイプが有意に2型糖尿病と相関を認めたことから(P=0.0032)、本遺伝子が日本人における2型糖尿病感受性遺伝子であることが示唆された(submitted for publication, Diabetes)。また、染色体20番(20q12-q13)については、HNF-4α遺伝子の膵特異的プロモーター(P2プロモーター)に位置するSNPの組み合わせによるハプロタイプが極めて有意に2型糖尿病と相関し、P2領域に2型糖尿病感受性を真に規定する機能的SNPが存在することが示唆された(submitted for publication, Diabetes)。また、我々が単離・同定し、2型糖尿病鍵分子であることを明らかとしたアディポネクチン受容体(ADIPOR1,ADIPOR2)についてSNPを利用した患者対照解析を行って日本人2型糖尿病感受性遺伝子としての意義を検討したが、インスリン抵抗性・2型糖尿病と有意に相関するSNPは認められなかった(accepted for publication, Diabetologia)。11p13-p12領域についてはpaired box gene 6 (PAX6)、15q13-q21領域についてはカルパイン3(CAPN3)についてSNPによる相関解析を行ったが日本入においては2型糖尿病の主要な感受性遺伝子とは認められなかった。引き続き本領域についてSNPを利用した相関解析を行い2型糖尿病感受性遺伝子の同定を試みる。
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