プロリンペプチド異性化翻訳後修飾酵素の基質蛋白質フォーカスドプロテオミクス解析

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15310139
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 東京農工大学
• 研究代表者: 高橋 信弘 東京農工大学, 農学部, 教授 (80293017)
• 研究分担者: 舘川 宏之 東京農工大学, 農学部, 助手 (60251576)
• キーワード: プロリン異性化酵素 / 機能プロテオミクス / タンパク質相互作用 / 酵素基質 / 免疫抑制剤 / プロテオーム解析 / ゲノム科学 / 翻訳後修飾

研究概要

本研究は、リン酸化・脱リン酸化とは異なるがタンパク質の活性制御を担う新たな翻訳後修飾として注目されてきているプロリンペプチド結合の異性化反応を触媒するペプチジルプロリルシストランスイソメラーゼ(PPIase)の基質タンパク質を網羅的に解析することを目的としている。本年度は、PPIaseとして知られている3種類のファミリーの内、主にヒトのParvulinファミリーに属するタンパク質(Pin1、Pin1L、hParvulin)について解析を行った。これらPPIaseと基質との相互作用を検出するために、エピトープタグ法、予めタグ付き融合タンパク質を調製しそれに対しての結合を検出す方法、内在性のタンパク質相互作用を抗体で検出する方法、共鳴プラズモン共鳴法で一過的相互作用を検出する手法等を検討した。これらの手法の中で、タンパク質にエピトープタグを融合しヒト培養細胞に発現させた手法によって、相互作用するタンパク質が多く検出出来たので、それらをアフィニティービーズでの回収とSDS電気泳動による分離後、ペプチドマスフィンガープリント法及びLC-MS/MSによるショットガン法で同定を行った。その結果、Pin1では10種、Pin1Lでは2種を同定した。Pin1とPin1Lはアミノ末端側のドメインでリン酸化The/Sr-Pro配列を認識するWWドメインを共有しているが、用いた細胞系ではPin1とPin1Lは異なるタンパク質に結合することが明らかになった。hParvulinではそのC末端側のPPIaseドメインへの結合タンパク質は特定できなかったので、架橋剤を用いた基質タンパク質の架橋条件の検討を開始した。また、異なるファミリーのcyclophilin及びFKBPファミリーに属するタンパク質の基質解析についてXenopus卵を用いた基礎的検討も実施した。

研究成果

• [文献書誌] Yoshimura, Y. et al.: "Molecular constituents of the postsynaptic density fraction revealed by proteomic analysis using multidimensional liquid chromatography-tandem mass spectrometry"Journal of neurochemistry. 88. 759-769 (2004)
• [文献書誌] Yoshida, Y. et al.: "Calcineurin inhibitors block dorsal-side signaling that affects late-stage development of the heart, kidney, liver, gut, and somitic tissue during Xenopus embembryogenesis"Development, Growth and Differentiation. 46. 139-152 (2004)
• [文献書誌] 早野俊哉 他: "遺伝子医学"メディカルデュー. 8 (2003)
• [文献書誌] 夏目徹, 高橋信弘: "臨床検査(Journal of medical technology)"医学書院. 9 (2003)
• [文献書誌] 山本匡彦, 高橋信弘: "バイオ実験シリーズ:プロテオーム解析マニュアル(礒辺俊明・高橋信弘編)"羊土社. 8 (2004)
• [文献書誌] 藤山沙理, 高橋信弘: "バイオ実験シリーズ:プロテオーム解析マニュアル(礒辺俊明・高橋信弘編)"羊土社. 11 (2004)
• [文献書誌] 泉川桂一, 高橋信弘: "バイオ実験シリーズ:プロテオーム解析マニュアル(礒辺俊明・高橋信弘編)"羊土社. 12 (2004)
• [文献書誌] 高橋信弘, 礒辺俊明: "バイオ実験シリーズ:プロテオーム解析マニュアル(礒辺俊明・高橋信弘編)"羊土社. 10 (2004)
• [文献書誌] 山崎芳雄 他: "バイオ実験シリーズ:プロテオーム解析マニュアル(礒辺俊明・高橋信弘編)"羊土社. 11 (2004)