研究課題/領域番号 |
15310149
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
深瀬 浩一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80192722)
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研究分担者 |
藤本 ゆかり 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00362616)
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キーワード | 糖鎖 / 固相合成 / 迅速合成 / 固相-液相ハイブリッド合成 / 立体選択的グリコシル化 / 保護基 / 複合糖質 / 免疫増強作用 |
研究概要 |
固相合成に適用可能な保護基としてTroc基に着目した。Troc基はZn/酢酸やZn-Cu/酢酸によって切断されるが、この条件は不均一系であるので、固相合成には用いられなかった。本研究ではDMF中で(Bu_3Sn)_2を加熱下で作用させることによりラジカルを作用させて切断するという新たなTroc基の脱保護法を見出した。Troc基をグルコサミンのアミノ基に用いて固相上でβ-選択的なグルコサミニル化を行った後に、この方法でTroc基を切断し、さらにアミノ基を導入することでβ-N-アセチルクルコサミニドを構築する手法を確立した。N-結合型糖鎖の固相合成を目指し、効率的なα-選択的グリコシル化法、β-選択的マンノシル化法、シアリル化法を確立した。 固相-液相ハイブリッド法としては、ポダンド型エーテルをタグとして用い、タグと固相担持アンモニウムイオンの相互作用を利用したアフィニティー分離法を確立した。この手法を用いてライブラリー合成を目指した検討を行い、ルイスX糖鎖など種々のオリゴ糖の迅速合成に成功した。 細菌表層複合糖質ペプチドグリカンの合成については、固相法と液相法を併用して、糖鎖をペプチド部分で架橋した構造の構築に成功した。 グラム陰性菌の内毒素については、種々の類縁体の合成により、活性は弱いが明確な免疫増強作用を示すという興味深い活性を示す類縁体を見出した。なお従来は強力存免疫増強作用を示すか、あるいはアンタゴニスト作用を示す類縁体が見出されていた。合成化合物を用いて受容体との相互作用を解析し、受容体二分子が一分子の内毒素を認識することにより、受容体が二量化してシグナルが伝わること、アンタゴニストは受容体と1:1で結合するためにシグナルを伝えないことを見出した。
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