研究概要 |
糖鎖の機能を明確な物質的、構造的基礎に立って明らかにすることを目指し、固相法と固相-液相ハイブリッド法による糖鎖の迅速かつ効率的な合成法について検討した。 4-アジド-3-クロロベンジル(ClAzb)基を持つ糖鎖を固相合成した後、アジド基と固相担持ホスフィン樹脂の反応により、ClAzb基を持つ目的化合物のみを釣り上げ、続いてDDQ酸化によって目的物を切り出す手法を用いてエリシター5糖の合成を行った。アスパラギン結合型糖タンパク質糖鎖の固相合成に向けた基礎的な検討を行い、(Bu_3Sn)_2を用いたラジカル反応によりトリクロロエトキシカルボニル(Troc)基を固相上で効率的に切断する方法を開発した。また固相上でN-Troc基の隣接基関与を利用した立体選択的グルコサミニル化を行うことに成功した。4,6-O-ベンジリデン保護マンノシルN-フェニルトリフルオロアセトイミデートを糖供与体として、TMSOTfを触媒として用いるβ-選択的マンノシル化法を見出した(α:β=1:9)。またN-フタロイル保護シアル酸のフェニルトリフルオロアセトイミデートを供与体に用いるα-選択的なシアリル化法も見出した。 われわれは、タグとタグ認識分子の特異的なアフィニティーを利用してタグの結合した化合物を分離する手法を開発し、Synthesis based on affnity separation(SAS)と名付けた。本研究ではポダンド型エーテルをタグに用い、タグの結合した目的糖鎖を固相担持アンモニウムイオンに選択的に吸着させる方法を確立した。この手法を用いてルイスX糖鎖を含む10数種のオリゴ糖ライブラリーの合成を行った。 免疫増強活性複合糖質リポ多糖ならびにペプチドグリカンについて、様々な部分構造や類縁体の合成を行い、それらの生物活性試験により、機能の解析ならびに生体の蛋白因子の相互作用について調べた。
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