研究課題/領域番号 |
15310150
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
加藤 修雄 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (50150537)
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研究分担者 |
新田 孟 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (20107098)
河野 富一 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (30283807)
佐々 武史 山形大学, 農学部, 教授 (80023456)
田中 淳二 九州大学, 先導物質化学研究所, 助手 (60155140)
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キーワード | フシコクシン / コチレニン / 細胞内信号伝達 / 14-3-3タンパク質 / 有機低分子モデュレータ / ジテルペン配糖体 / 分化誘導活性 / ケミカルジェノミクス |
研究概要 |
cotylenin(CN)は急性骨髄性白血病系培養細胞(HL-60)に対して分化誘導活性を示すことが知られていたが、本年度は、各種癌細胞に対してアポトーシス誘導活性を持つことが知られているインターフェロンα(IFN-α)との併用効果を調べた。その結果、多くの癌細胞に対して顕著な併用効果が見られ、特に、卵巣癌細胞に対して極めて有効であることが判明した。培養細胞のみならず、患者から採取した癌細胞に対しても有効であるばかりでなく、ヌードマウスに移植した腫瘍モデルに対しても、その増殖を顕著に抑える結果も得られている。 また、海外共同研究者(M.Kahn)の協力により、Wntシグナリングにおいて重要な役割を果たす転写因子に対してCoIP実験を行ったところ、CNが14-3-3タンパク質とリン酸化された転写因子の会合を安定化しているという、極めて重要な知見が得られた。この知見は、上述の癌細胞に対するCNの効果を説明できるもので、CNのターゲットがこの14-3-3タンパク質会合体である可能性を示唆している。 化学構造上CNと類縁にあるfusicoccin(FC)は、CNと全く同一の作用機序で植物H^+-ATPaseと14-3-3タンパク質の会合状態を安定化することが明らかにされている。しかし、上述の動物細胞に対する活性には両者間に顕著な相違がある。そこで、昨年度に引続きCN様活性を有するFC誘導体を得るべく検討した。両者の化学構造上の相違を参考に、ISIR-001〜003を合成し、HL-60に対する分化誘導活性を指標に評価した。その結果、001がFCと同程度の弱い活性しか持たないのに対して、002および003は、CN様の強い分化誘導活性を示した。001〜003の化学構造から、動物細胞に対して活性を持つための化学構造要素を特定できたと考えている。
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