研究分担者 |
佐々木 正人 東京大学, 大学院・情報学環・学際情報学府, 教授 (10134248)
西脇 茂利 財団法人日本鯨類研究所, 調査部・部長
伊藤 精英 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 講師 (90325895)
鈴木 健太郎 札幌学院大学, 人文学部, 助教授 (10308223)
飯田 浩二 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授 (40142707)
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研究概要 |
・日本近海におけるネズミイルカの分布と混獲状況について ストランディング状況を,アンケート,文献・資料・聞き取りによって収集した結果,来遊時期は冬季に日本周辺各地でストランディングが報告されていた。特に,4月上旬から5月にかけて,北海道南茅部町臼尻で定置網による混獲報告が最も多かった。ストランディングの要因は94例中70例が混獲,そのうちの67例が定置網による物であった。94例のうち,北海道南茅部町臼尻での混獲が36個体,北海道白老町が7個体,その他が51個体であった。臼尻における2002年と2003年の混獲個体を調査したところ,雄がやや多く,未成熟,また,収容した個体の半数が収容直後に死亡した。 ・漁網を認知するメカニズムについて 漁網等新規環境に進入したネズミイルカの環境探索の鍵行動を得るために,水槽に収容した直後のクリックス数および行動を収録した。その結果,クリックス数は収容3時間後までに急激に減少した。その後,Halting Typeと定義したぎこちない首振り行動が発現し,収容3日後まで見られた。このことから初期探索行動にはクリックス,その後の探索行動には首振り行動が,環境探索の鍵行動であると考えられた。 ・パスアビリティーの解明 漁網に混入した個体の一部を水族館にて長期飼育し,水槽内の行動およびクリックス音を収録した。どの程度の幅の大きさの入口があると進入できるかを調べる実験を行ったところ,50%の確率で通過する幅は約47cmであり,この幅と尾鰭幅との比率(生物学的π数)は1.25倍となった。この値は,他の動物で求められているπ数に近い。
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