研究課題/領域番号 |
15310160
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
資源保全学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石田 健 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (90192484)
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研究分担者 |
宮下 直 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (50182019)
高槻 成紀 東京大学, 総合研究博物館, 助教授 (00124595)
服部 正策 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (00164864)
山田 文雄 森林総合研究所, 鳥獣生態研究室, 室長(研究職) (10353905)
関 伸一 森林総合研究所, 九州支所, 研究員 (50343801)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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キーワード | 生態系管理 / 順応的管理 / 群集プロセス / 食物連鎖 / 外来種 / 奄美大島 / 生物多様性 / 生態系モデル |
研究概要 |
本研究の目的は、奄美大島の森林地域における固有種の多い群集を、外来種が未侵入で森林植生が保存されている区域を見本とし、その状態に近く回復させ、数十年を超えて保存するための規準を示すことである。食物網の解明を1つの重要手段として種間相互作用を観測し、外来種捕食者の密度低下と固有種個体群の回復の因果関係の仮説をたてて、外来種駆除と森林回復の結果を予測し、検証することによって順応的な管理計画を策定する生態系管理をめざす。1990年代に分布と個体数が拡大した外来種ジャワマングースの高密度分布域では、多くの固有種が減少または消滅した。2000年から環境省によるマングース駆除事業が展開されている。マングースの冬の重要食物の一つであるクマネズミも、外来種捕食者として固有種に一定に影響を与える。このように、複数の種間相互作用の強い外来種がいることから、マングースの駆除が中間捕食者を通した間接効果を群集全体にどのように及ぼすかを含めて、検討するために、2003年からマングース、クマネズミや両生爬虫類、地上俳徊性大型節足動物や鳥類、スダジイ堅果の現存量と捕食者の食性を同時に観測し、1カ所のプロットではマングースの除去実験を行った。森林内のクマネズミの生息密度は、主として毎年変動する天然林の優占樹種のスダジイの結実量に強く依存して変動し、マングースの冬の食物として、クマネズミ以外に島の生態系外の要因によって大きく変動する冬鳥のシロハラも、重要であることがわかった。また、マングースの個体数低下の間接効果は、固有種の被食者である両性爬虫類を通して大型地上性昆虫に及ぶ場合が一般的であることがわかってきた。奄美大島の森林生態系は複雑であり、短期的な変動の繰り返しが長期の動態や種間相互作用にも影響することが示唆された。
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