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2005 年度 実績報告書

紛争の総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15310173
研究機関国立民族学博物館

研究代表者

押川 文子  国立民族学博物館, 地域研究企画交流センター, 教授 (30280605)

研究分担者 小杉 泰  京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (50170254)
大塚 和夫  東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (70142015)
栗本 英世  大阪大学, 大学院・人間科学研究科, 教授 (10192569)
黒木 英充  東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (20195580)
臼杵 陽  日本女子大学, 文学部, 教授 (40203525)
キーワード紛争 / 平和構築 / 暴力 / 地域研究 / 復興支援
研究概要

本年度は、研究会を開催し、個別の紛争事例について研究分担者が報告を行い相互に検討した。また、研究分担者および協力者が分担した紛争の事例研究を進めるため、東ティモール、マレーシアおよびインドネシア、イギリス、イスラエル/パレスチナ、エジプトにおいて調査を実施した。さらに、海外から研究者を招聘し、平成17年11月にヨーロッパのムスリム・コミュニティに関する国際ワークショップを開催し、2005年後半にフランスで起きた移民系の若者による大規模かつ長期的な暴動を、多文化主義政策をとってきたイギリスのムスリム社会の現状と比較しながら検討した。
本研究では、米ソ冷戦終焉後に頻発する地域紛争とその暴力化のメカニズム、そして紛争後の平和構築と開発復興について、(1)非国家主体による内戦型の紛争、(2)国内紛争と国際紛争の重層性、(3)国際機関や市民団体など紛争当事者以外の非国家的アクターの関与、の3点に注目し、地域研究の視点から検討することを目的としてきた。最終年度である本年度は、3年間の成果の研究成果を踏まえた個々の紛争の事例について、紛争に対する国際的な関与だけでなく、紛争の「当事者」自体が多様な国内外の要素を凝縮して形成されることを明らかにし、紛争の内部から地域的紛争が国境を越えた政治関係や言説形成と密接に結びついている状況を明らかにした。これらの視点は、本研究の成果報告書において、ルワンダを例に旧宗主国との関連を重視して詳細に分析することによって「部族」というアクター自体に凝縮する国内外の力学を解明した武内論文、中央アジアを例に国内外の報道を付き合わせることにより「暴力」言説の生成過程に注目した帯谷論文、パレスティナ/イスラエル紛争を取り上げた臼杵論文、9.11がインドの文脈に移しかえられあらたな紛争を惹起する過程を分析した押川論文などとしてまとめられた。
また最終年度にあたり、比較の視点による論点の整理にも取り組んだ。2005年11月に実施したヨーロッパ社会におけるムスリムに関する国際ワークショップでは、受け入れ国の条件、国際的なイスラームの動きなど多様な要素を考慮しつつ、イギリスとフランスにおける「他者」排斥のメカニズムの共通性と相違を明らかにした。
また、市民団体や国際機関など非国家アクターについては、今年度はとくに紛争地における災害と国際的な復興支援活動に着目し、非国家アクターの存在を前提として地域的な力関係が再構成される過程について実証的な研究を深めるなどの成果を挙げた。

  • 研究成果

    (20件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (17件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 地域にとって地域研究者とは何か-マレーシア・サバ州のバジャう人研究に見る当事者性と外来者性2006

    • 著者名/発表者名
      山本博之
    • 雑誌名

      地域研究 7・1

      ページ: 91-106

  • [雑誌論文] 教育に託した開発/発展への夢-内戦、離散とパリ人2006

    • 著者名/発表者名
      栗本英世
    • 雑誌名

      ポスト・ユートピアの民族誌(田沼幸子(編)), 大阪大学21世紀COEプログラム「インターフェイスの人文学」

      ページ: 223-241

  • [雑誌論文] イスラームと公共性2006

    • 著者名/発表者名
      小杉泰
    • 雑誌名

      宗教から考える公共性(稲垣久和他編)(東京大学出版会)

      ページ: 209-228

  • [雑誌論文] EUの中のロシア語系住民-エストニア北東部の事例から2005

    • 著者名/発表者名
      小森 宏美
    • 雑誌名

      国際政治 142

      ページ: 113-126

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] バルト・ドイツ人の再定住-国民国家形成期のエストニア人とバルト・ドイツ人の関係2005

    • 著者名/発表者名
      小森 宏美
    • 雑誌名

      中央ヨーロッパの可能性(大津留厚編)(昭和堂)

      ページ: 173-201

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] オストロウーモフの見たロシア領トルキスタン2005

    • 著者名/発表者名
      帯谷 知可
    • 雑誌名

      ロシア研究 76

      ページ: 15-27

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] 文明-イスラーム世界から2005

    • 著者名/発表者名
      大塚 和夫
    • 雑誌名

      文化人類学入門(山下晋司編)(弘文堂)

      ページ: 220-232

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] スーダン内戦の終結と戦後復興2005

    • 著者名/発表者名
      栗本英世
    • 雑誌名

      海外事情 53・4

      ページ: 2-21

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] 方法としての地域研究2005

    • 著者名/発表者名
      押川 文子
    • 雑誌名

      地域研究 7・1

      ページ: 5-12

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] 民主化と安定に向けて-イラク戦争後の湾岸2005

    • 著者名/発表者名
      小杉 泰
    • 雑誌名

      湾岸アラブと民主主義-イラク戦争後の眺望(日本国際問題研究所編)(日本評論者)

      ページ: 1-17

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] 紛争地域の復興・開発支援-地域研究から考える2005

    • 著者名/発表者名
      石井 正子
    • 雑誌名

      地域研究論集 7・1

      ページ: 47-68

  • [雑誌論文] 中東から見る世界と日本の中東政策2005

    • 著者名/発表者名
      飯塚正人
    • 雑誌名

      学芸総合誌環【歴史・環境・文明】 21

      ページ: 48-53

  • [雑誌論文] 消し去られる身体-アラブ・ムスリム女性をめぐる断章2005

    • 著者名/発表者名
      大塚 和夫
    • 雑誌名

      叢書 身体と文化 第3巻 表象としての身体(鷲田清一他編)(大修館書店)

      ページ: 236-261

  • [雑誌論文] Globalization and Religious Conversation in Lamu, Kenya2005

    • 著者名/発表者名
      Otsuka Kazuo
    • 雑誌名

      Dislocating Nation State (Abinales, P.N. et al. eds)(Kyoto Univ.Press)

      ページ: 212-226

  • [雑誌論文] The Relationele of Japan-Muslim Civilizationnal Dialogue : A Japanese Perspective2005

    • 著者名/発表者名
      Otsuka Kazuo
    • 雑誌名

      The Dialogue of Civilizations Between Japan and the Muslim World (El-Sayed Selim, ed)(Cairo Univ.)

      ページ: 19-28

  • [雑誌論文] Multidimensional Impact of Refugees and Settlers in the Gambela Region, Western Ethiopia.2005

    • 著者名/発表者名
      Eisei Kurimoto
    • 雑誌名

      Displacement Risks in Africa : Refugees, Resettlers and Their Host Population. (Ohta, I., Yntiso D.Gebre eds)(Kyoto University Press)

      ページ: 338-358

  • [雑誌論文] 日米における中東イスラーム地域研究の「危機」2005

    • 著者名/発表者名
      臼杵 陽
    • 雑誌名

      地域研究 7・1

      ページ: 5-12

  • [図書] Political Violence and Human Security in the Post-9.11 World2006

    • 著者名/発表者名
      Kuroki Hidemitsu
    • 総ページ数
      254
    • 出版者
      The Japan Center for Area Studies, National Museum of Ethnology
    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [図書] 現代イスラーム世界論2006

    • 著者名/発表者名
      小杉泰
    • 総ページ数
      904
    • 出版者
      名古屋大学出版会
    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [図書] 中央ユーラシアを知る事典2005

    • 著者名/発表者名
      帯谷知可ほか編
    • 総ページ数
      624
    • 出版者
      平凡社
    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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