研究課題/領域番号 |
15320001
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
篠 憲二 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20086119)
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研究分担者 |
座小田 豊 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20125579)
野家 啓一 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40103220)
清水 哲郎 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70117711)
熊野 純彦 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (00192568)
川本 隆史 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40137758)
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キーワード | 福祉 / 幸福 / QOL / 臨床倫理 / コミュニケーション |
研究概要 |
「現代における倫理の混乱は種々に論じられてゐるが、倫理の本から幸福論が喪失したといふことはこの混乱を代表する事実である。新たに幸福論が設定されるまでは倫理の混乱は救はれないであらう」(『人生論ノート』1941年)と三木清が説いてから、60年以上が経過した。今も通俗的な人生論・心理学の書物やマスメディアでは、「幸福」や「幸せ」をめぐる言説や映像が大量に生産・消費され続け、政治や経済の世界でも「福祉」の見直しや「豊かな暮らし」の問い直しが叫ばれている。だが肝心の倫理学の世界では「幸福」が正面切って論じられる動きは、現在もなお乏しい。そうしたギャップを埋めるためにも、「福祉」、「いい暮らし」、「幸福」を包括したWell-being概念に注目し、これを倫理学の観点から再考する作業が必要ではないか。本プロジェクトはこうした問題意識に発したものである。したがって、研究の基本的なねらいは、Well-being概念を多角的・総合的に解明することを通じて、「よく生きること」の内実を吟味するとともに、そこで得られた知見を社会生活や保健医療の現場にどれほど適用可能かを追究するところに絞られている。 1 一年目の今年度は、チームワークづくりとWell-being概念を再検討する方法論の探究に主力を費やした。 2 分担者の清水、野家、川本は科学技術振興調整費による共同研究「臨床コミュニケーションのモデル開発と実践」(代表 大阪大学 鷲田清一,平成14年度〜15年度)の分担者も務め、本プロジェクトとの連携を進めた。さらに清水は日本学術振興会による「人文・社会科学の振興のためのプロジェクト研究事業」の交付を受けた共同研究「医療システムと倫理」のリーダーとして、研究集会《医療の質の向上を目指して》(2004年1月24〜25日:ホテルサンルート仙台)を主催し、臨床倫理の観点からWell-being概念の再検討と実践的適用を考察した。 3 各分担者は研究実施計画に沿って、携帯用端末ツールやノートパソコンを購入し、相互の連携や情報処理の効率化を推進した。また課題に関わる基本図書を揃えることが出来たため、2年目からの研究の基礎固めがほぼ完了した。
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