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2003 年度 実績報告書

中世後期からルネサンスに至る「言葉」理解―形而上学から人文主義へ―

研究課題

研究課題/領域番号 15320004
研究機関上智大学

研究代表者

RIESENHUBER K.  上智大学, 文学部, 教授 (60053633)

研究分担者 佐藤 直子  上智大学, 文学部, 助教授 (60296879)
菅野 カーリン  上智大学, 文学部, 教授 (20226418)
荻野 弘之  上智大学, 文学部, 教授 (20177158)
川村 信三  上智大学, 文学部, 助教授 (00317497)
長町 裕司  上智大学, 文学部, 助教授 (90296880)
キーワード言葉 / 言語論 / 論理学 / 修辞学 / 文法学 / 人文主義 / スコラ学 / 宗教改革
研究概要

二年間の本研究の一年目にあたる平成十五年度には主として以下の研究を行い、研究成果を得た。I.中世における「言葉」の理解に関して:1.(a)スコラ神学においてアウグスティヌスによる「内的言葉」の精神形而上学的言葉理解がトマス・アクィナスとエックハルトにおいてその頂点に至り、後に退けられる。(b)13世紀スコラ学的言語哲学では、古代の三学の中の論理学が以前に支配的であった文法学から明確に区別され、言語が一貫して論理学の側面から考察される。その流れの中、言葉・知解・事物の対応関係を強調する「思弁文法学」が単語の論理的機能を分析する名辞論理学(オッカム派)によって乗り越えられるが、オッカム派の論理学はまた言語共同体における言語使用を重視するブリダヌス派によって背後に押される。2.論理学の影で、古代の三学のなかの修辞学は中世において三つの形で存続し人文主義思想の種になった。すなわち、説教術、正式的書簡作成法、作詩法であり、その伝統の中で既に12世紀頃からキケロの修辞学が研究されていた。II.14世紀初頭にキケロの書簡集などのラテン語、後にギリシア語修辞学文献の発見にともない、イタリア人文主義では論理的思考が言語行為の一契機として解釈され、論理学が修辞学へと還元され、結果、修辞学は言語理解全体の中心となり、言語が教養と実践約生活の要と認められた。こうして修辞学は教育学、道徳学、法・政治学において根本的位置を得、諸学問の基盤と見なされた。15世紀末以来の国語への重視によって、実際の言語使用とその文学的・政治的・宗教的諸可能性が再評価され、歴史と民族性に対する視野が開かれた。規範的普遍論理学が高度に専門的知識に留まっていたのに対し、修辞学的言語理解は宗教改革とイエズス会の教育法によって一般市民のうちに受け入れられるようになった。

研究成果

(7件)

すべて その他

すべて 文献書誌

  • [文献書誌] K・リーゼンフーバー: "作成的理性と意義の肯定-科学・技術の時代における宗教の未来に向けて-"比較思想研究(比較思想学会). 第30号. 9-16 (2004)

  • [文献書誌] 佐藤 直子: "クザーヌスにおける偽ディオニュシオスの受容-『知ある無知』を中心に-"哲学科紀要(上智大学). 第29号. 49-70 (2003)

  • [文献書誌] K・リーゼンフーバー, 荻野 弘之: "<シンポジウム>開かれた中世研究を求めて"ソフィア(上智大学). 第51巻4号. 10-43 (2003)

  • [文献書誌] 川村 信三: "一六世紀新修道会のなかのイエズス会の意義"キリスト教修道制-周縁性と社会性の狭間で(豊田浩志編). 279-317 (2003)

  • [文献書誌] 荻野 弘之: "「至福の世」の記憶-アウグスティヌスにおける「真理の倫理学」の可能性"記憶(哲学雑誌/有斐閣). 第118巻790号. 49-65 (2003)

  • [文献書誌] Karin Sugano: "Erasmus am Scheideweg-Zur geistesgeschichtlichen Bestimmung einer Epoche und eines ihrer Exponenten-"ドイツ文学論集(上智大学). 40号. 1-26 (2003)

  • [文献書誌] K・リーゼンフーバー: "中世思想史"平凡社ライブラリー. 485 (2003)

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公開日: 2005-04-17   更新日: 2016-04-21  

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