研究課題
基盤研究(B)
2年間にわたる本研究では主に以下のテーマを研究し研究成果を得た。1)北方13・14世紀スコラ神学においてアウグスティヌスの「内なる言葉」がトマス・アクィナスによって形而上学的に展開され、エックハルトの神秘主義的精神論を根拠づけている。2)言葉を中心とする古代自由学芸三学のうちの文法学は論理学へと発展させられ、存在論的に裏づけられた「思弁文法学」は1330年頃まで存続しており、(説教術・作詩法として使われた)修辞学も論理学に付属するものとされる。3)すでに1270年頃から名辞論理学は論理学の独立性を強調し、唯名論と合致したかたちで1320年代からオッカム派によって体系化され、それに続くブリダヌス派において理想言語ではなく実際に使用される言語の理論として展開される。4)言語の学問的論理学的理解に対して、「新しい敬虔」において言葉は語り・対話として注目されたうえ、宗教改革者は聖書の言葉と説教を言語的行為と出来事として新たに発見した。5)他方、14世紀初頭のイタリアでイギリス論理学の流入に対抗し、キケロをはじめとする古代の修辞学者が研究されるのにともなって、論理学が修辞学と文献学に代わられ、優雅な古典ラテン語が普遍的模範とされると同時に、各国語も重視され、言語は自由市民の人格形成の基本要素とされ、その倫理的・政治的・教育的機能が重視されるようになった。6)この人文主義的伝統が15世紀末から大学に取り入れられ、16世紀フランス哲学では、人文主義と宗教改革の影響のもとでアリストテレス的論理学が徹底的に批判されるにつれて、古典的トピカ論とドイツ・ヒューマニズムの弁証論の総合によって、修辞学的に理解された言葉から真理発見の方法論を展開する試みがなされたが、16世紀後半において幾何学的認識観に重点を置く初期近世の方法意識によって、この人文主義的伝統が色あせていった。
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平成15年度〜平成16年度科研費(基盤研究B2)中世後期からルネサンスに至る「言葉」理解--形而上学から人文主義へ--
ページ: 59-99
哲学科紀要(上智大学) 第31号
ページ: 25-57
ページ: 5-46
ページ: 151-160
ページ: 117-150
ページ: 47-58
Report on the Research Project, Grant-in- Aid, "The Understanding of the "Word" from the Late Middle Ages to the Renaissance - from Metephysics to Humanism" (2003,4-2005,3) [Basic Reseach (B)(2)] (below cited as : Report)
Philosophical Studies (Department of Sophia University) No.31
Report
中世思想研究 46
ページ: 145-146
Studies in the Medieval Thought XLVI
ソフィア(上智大学) 第51巻4号
ページ: 10-43
ドイツ文学論集(上智大学) 第40号
ページ: 1-26
Sophia Vol.51-No.4
Sophia-Universitat Beitrage zur deutschen Literatur vol.40