研究課題
基盤研究(B)
「宗教(religion)」という概念自体の歴史的成立事情、とくにそれが近代西欧社会におけるプロテスタント教会のありかたに暗黙のうちに準拠して形成されたものであることをふまえ、またその政治的含意も考慮に入れて、宗教学、宗教研究という営みそのもののあり方を反省することが、世界の宗教学、宗教研究におけるこの10年ほどの傾向であった。本研究は、そうした「宗教」の歴史化、ないしコンテクスト化を踏まえたうえで、現在の世界でどのような宗教研究が新たに試みられているか、そしてどのような成果を生みつつあるかを調査、検討し、以てわれわれ自身の宗教研究の新たな指針とすることを目指して行われた。検討の範囲としては、古代から現代の諸宗教現象に関する、さまざまな研究方法による研究の動向をできるだけ広く視野に収めるべく、専門分野を異にする第一線の研究者を研究分担者とし、それぞれの研究領域における最新の研究状況を調査、検討した。またそれを踏まえ、今後どのような研究がなされるべきであるかについても考察がなされた。具体的には、毎年数回の研究集会を開催し、研究分担者がそれぞれの専門領域を主として報告を行い、相互討論を経て理解を深めるという作業を積み重ねていった。その成果は、すでにさまざまな学術論文として公表されているが、『研究成果報告書』にも多くの論文を収めている。本研究によって得られた各分野での研究動向に関する知見、およびその検討の成果は、研究分担者それぞれの今後の研究に反映されることであろう。現代世界の宗教および宗教研究の状況を通覧するならば、これまでの宗教学が生み出してきたさまざまな学問的概念はすべて入念な系譜学的再検討を要するが、それを踏まえた上で新たに使用されるならば、宗教研究を新たな段階にもたらすものとなる。このことがわれわれの共通理解であり、本研究の成果の要約的表現となる。
すべて 2006 2005 2004 2003
すべて 雑誌論文 (10件)
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