研究課題/領域番号 |
15320017
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
多賀 茂 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (70236371)
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研究分担者 |
杉万 俊夫 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (10135642)
立木 康介 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (70314250)
三脇 康生 仁愛大学, 人間学部, 助教授 (40352877)
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キーワード | 精神医学 / 病院 / 環境 / 思想 / フランス / 制度 |
研究概要 |
平成17年度は研究3年目にあたり、我々の研究・調査の主たる対象の一つである、フランスにおける精神療法の一流派である<制度論的精神療法>の中心人物であるジャン・ウリ氏を招聘し、講演会ならびにワーク・ショップを開催した。この流派は、病院のなかの環境を分析することによって、そこで個人の個別性の疎外が起こらないようにする方法である。また、フランス現代思想に詳しい合田正人氏(明治大学)に、制度論的精神療法と現代思想との関係について講演をしていただいた。沖縄において、地域固有の文化を活かしながら、病院内の活動を展開しているいずみ病院の実地調査も行った。 一方、病院の外の環境に関わるものとして、<セクター制度>(地域ごとに複数の精神科施設が提携・協力するシステム)については平成16年度に講演会を開催するなどして研究を進めてきたが、今年度はさらに横浜での恵友会という地域福祉活動のグループを実地調査した。 こうして、病院の<うち>と<そと>をより人間的なものにする様々な試みを、まずフランスのそして次に日本の精神医療において調査・研究した成果を、本年度後半はまとめていく作業を開始し、成果報告書の作成も3月には完了した。報告書は、当研究の課題を反映したかたちで、第1章、第2章は病院の<そと>と<うち>に当てられ、それぞれフランスのセクター制度や制度論的精神療法や日本における地域医療や病院内の人間関係改革の試みについて記述、論述している。また第3章では精神医療をめぐる諸問題として、精神療法一般の歴史的変化とその意味、また精神分析が精神医療で果たすべき役割について、そして最後に第4章では、とりわけ制度論的精神療法が思想的にはどのような背景や現代的意義を持っているかを考察した。
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