研究課題/領域番号 |
15320020
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 良明 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (00126278)
|
研究分担者 |
松岡 心平 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (70173812)
木村 秀雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10153206)
岩佐 鉄男 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50203360)
長木 誠司 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50292842)
DE Vos Patrick 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (00242032)
|
キーワード | 日本 / 大衆文化 / ポピュラー音楽 / パフォーマンス / 文化融合 |
研究概要 |
交付の内定が10月になったために始動の遅れた平成15年度の研究は、12年度に制作を開始した「歌謡曲デジタル・アーカイブ」のさらなる充実をはかる一方(現在の総タイトル約10,000曲)、1930年代と1960-70年代に焦点を合わせた歌唱と伴奏におけるビートのパターンの解析を行った。 日本の歌謡曲を資料的基盤として「うた」の融合理論を組み立てるためには、その「進化」をうながした2つの背反する方向付けの力-19世紀ヨーロッパの文化的覇権者の間で標準化した歌唱美学と、20世紀にアフリカ系アメリカ人の先導のもとで興隆したビート系商業音楽-の受容過程を体系的に把握することが必要となる。前者に関して本年度はフランスのシャンソンと宝塚歌唱の比較に焦点が当てられた。後者に関しては、その基礎研究として、アメリカにおけるアフリカ的要素とヨーロッパ的要素の融合の実態を、スミソニアン博物館所収の音声データ、およびニューヨーク市立図書館所収の文字資料をもとに調査した。1890年代から1930年代にかけて、アメリカ大衆が「アフリカ的」と見なしてきた身体性を彼らの「うた」と「おどり」の中に吸収/創出していったプロセスを、1970年前後の日本歌謡曲におけるロック・ビートの吸収プロセスと比較する、いわば融合形態の比較研究が現在進展中である。 しかし北米におけるアフリカ的要素の展開を活性化においても、戦後日本のビート音楽の活性化においても、中南米、特にキューバに成立した融合音楽との融合の形式が解析されなくてはならない。また本研究では、近代以前の日本におけるビート音楽の形式として、能楽の囃子のリズム分析も計画されている。これらについての実績は先送りされたが、他方、現代でもグローバルなポップ音楽との融合が非常に緩慢な地域の実状を把握する必要から、南インドの音楽状況の調査を行った。
|