研究課題/領域番号 |
15320023
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
青木 孝夫 広島大学, 総合科学部, 助教授 (40192455)
|
研究分担者 |
樋口 聡 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (30173157)
原 正幸 広島大学, 総合科学部, 教授 (10092305)
|
キーワード | 芸道 / 芸術的実践 / ハビトス / 自己教育 / 美的学習 / 教養 / 宇宙論 |
研究概要 |
青木孝夫は、藝道思想の日本的展開を探究する課題の一環として江戸時代に於ける日本的美学の成立の機制や<藝術>表象の変貌を巡って近世日本の藝術思想の基本的枠組みの解明を行った。そのことを通して、専門家に限らない藝術実践の伝統を掘り起こすと共に、明治修養主義から大正教養主義への展開の中で藝術的実践が読書的実践として変貌する問題を検討した。市民の美的実践の意義・思想的解明は、現代においてこそ必要である。というのも独創牲の神話を離れた藝術は、とりわけ(ポスト)複製技術の普及と絡み美的実践として姿を現しつつある。藝術は、作ることも、味わうことも、携わる人間にとっては時間を費やす藝術経験であり、その経験は、主体に学習として享受としてまた自己涵養としてはたらきかける。藝術ないしアートの実践は日々の生活や現代的コミュニケーションの枠の中でも考えられるべきである。 この点に関し、樋口聡は「教育思想における<学び>の位置」を通じ、またアートの隣接領域ともいうべきスポーツを巡りサッカーを論じ問題を探究した。関連して、我々と問題意識を共有するところ多いR.シュスターマン(樋口翻訳・解題)「美学的問題としての「娯楽」」(『第53回美学会全国大会・報告書』2003年、249-269頁)を公表した。 原正幸は、中国の紹興文理学院蔡元培芸術学院で講演を行い、東アジア音楽と宇宙論の考察をし、藝術実践の最中に於ける身心を核とした美的受容性と創造性を省察した。また琴学史上に名高い東皋心越の江戸時代に於ける受容とその展開を扱って中国浙江省芸術研究所で講演を行い、音楽実践と養生思想の関連について歴史哲学的な考察を展開した。これらの講演はいずれ版行される予定である。 また薛羅軍氏や萱のり子氏また戦暁梅氏らの気鋭の研究家と協力して、藝道思想の歴史的社会的な広がりと厚みについて、研究会を催しまた議論を通して研究を展開した。
|