研究課題/領域番号 |
15320023
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
青木 孝夫 広島大学, 総合科学部, 助教授 (40192455)
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研究分担者 |
原 正幸 広島大学, 総合科学部, 教授 (10092305)
樋口 聡 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (30173157)
桑島 秀樹 広島大学, 総合科学部, 助教授 (30379896)
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キーワード | 芸道 / 芸術的実践 / 身体 / 自己教育 / 美的学習 / 芸術教育 / 教養 / ハビトス |
研究概要 |
市民による日常的な美的実践の意義の解明を念頭に、藝道思想の歴史的研究と現代への活用の哲学の探求を目的として研究を進めた。独創性の神話を離れた藝術は、複製技術の普及と絡み広範な美的実践として姿を現し、他方で身心の関与する実践が従来の藝術の境界を突き崩して拡大している。拡大する美的領域に於ける<藝術実践による自己探求の営み>という基本的発想の下、各分担者は次のように研究を進めた。 青木孝夫は2005年8月大邱近郊で開催された日韓美学研究会で藝術教育に関する発表を行い、翌9月岡山大学で開催された日本文化の諸相を巡るシンポジウムで藝道概念の創出と特性を分析し、藝道概念の脱構築を提唱した。 樋口聡は2005年の10月オーストリアのグラーツで「子供のための哲学」の国際学会で身心を核とするアートと美的教育の関係について発表し、また『身体教育の思想』の著作を10月に刊行して、身体の契機に着目する現代的なパラダイムでの教育思想に関する研究成果を公刊した。 原正幸は2005年9月、上海湖南師範大学で開催された中国音楽文化比較研究国際会議で東アジア音楽の藝術実践について研究交換をした。2006年1月には上海音楽学院を訪ねて、近代音楽教育と伝統的音楽実践との関連について研究交換した。 桑島秀樹は作品を越えた歴史的史跡や記念碑の研究を通じて社会の記憶と美学の関わりを藝術実践の現代的ありようとして分析・解釈した。 文人思想の研究を進めるべく2006年3月にアトリエ・ゼミを開催し高橋博巳(金城学院大学)を招き、講演と合同演習を実施した。この機会に青木は宗教的な禁欲的藝道観の背後にある事大的な藝術観によって文人思想や娯楽的な藝術観が抑制される機制を解明し、素人による藝術実践の伝統を掘り起こす発表を行った。 これらの成果の一部は日韓美学研究会の協力を得て実施した藝道に関する研究成果と併せて2006年3月に刊行した報告書に掲載した。
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