研究課題/領域番号 |
15320025
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研究機関 | 独立行政法人国立博物館東京国立博物館 |
研究代表者 |
金子 啓明 独立行政法人国立博物館東京国立博物館, 事業部, 部長 (90110098)
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研究分担者 |
岩佐 光晴 独立行政法人国立博物館東京国立博物館, 事業部情報課図書・映像サービス室, 室長 (10151713)
浅見 龍介 独立行政法人国立博物館東京国立博物館, 事業部事業企画課出版企画室, 室長 (30270416)
能城 修一 独立行政法人森林総合研究所, 識別データベース化担当, チーム長 (30343792)
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キーワード | 伊奈冨神社 / 鈴鹿神宮寺 / 男神坐像 / 大和文華館 / 女神坐像 / クスノキ / 熊野速玉大社 / 松尾大社 |
研究概要 |
今年度は昨年度と同様に神像彫刻を中心に調査を実施し、あわせて可能な作例に限り、用材のサンプル採集を行なった。 今回調査した作例は、三重県鈴鹿市の伊奈冨神社の男神坐像1躯、同神宮寺の男神坐像1躯、天部立像2躯、如来立像1躯、奈良・大和文華館の女神坐像1躯である。男神像2躯については用材のサンプル採集を実施することができた。サンプルについては現在分析中であるが、目視によっても明らかに広葉樹と判断され、クスノキである可能性が高いと考えられる。いずれも、制作時期は9世紀に遡ると推定され、初期神像の用材選択のあり方を考える上で一つの指標とすることができると思われる。また、神宮寺の像は像内に二筋の大きなウロのある材を使用しており、何らかの由緒のある古木を用材として使用している可能性も想定でき、興味が持たれた。 また、大阪市立美術館の特別展「祈りの道」では熊野速玉大社の神像が3躯、京都国立博物館の特別展覧会「神々の美の世界」では松尾大社の男神坐像をはじめとする京都所在の多数の神像、栗東歴史民俗博物館では企画展「近江の神道美術」では滋賀県下の主要な神像が出品され、展覧会場に赴き、各像に関して表面観察によるデータ収集を行った。これらの展覧会を通して、本研究を推進する上で、多くの有益な情報を得ることができた。さらに今年度は、神像彫刻に関する図書や論文が相次いで発表され、そうした研究動向にも注意して、情報収集を行った。2月には研究協力者の藤井智之氏も交えて会合を開き、次年度の調査計画を検討した。 なお、研究分担者の岩佐が『平安時代前期の彫刻-一木彫の展開』(『日本の美術』457至文堂)を発表し、これまで継続して行ってきた本研究の成果を踏まえて、平安時代前期の木彫像について再検討を試みた。
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