研究課題/領域番号 |
15320028
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
日本文学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
キャンベル ロバート 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50210844)
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研究分担者 |
佐藤 悟 実践女子大学, 文学部, 教授 (50178729)
谷川 恵一 国文学研究資料館, 複合領域研究系, 教授 (10171836)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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キーワード | 写真史 / 啓蒙 / 幕末期 / 教訓 / 日本文学 / 明治時代 / 説教 / 近世日本文学 |
研究概要 |
本研究は、文明開化期における表現の歴史をふりかえり、当時の日本で先進的「文明」がどのように認識され展開し、新規様々な表現態を生み出すに至ったかを具体的に究明しようとしたものである。史上まれにみる「啓蒙」の時代は、民衆の教化を国策として最優先しつつ、あらゆるメディアの転換を実現し、近代国家そのものの形に決定的な痕跡をのこした。 しかし従来「啓蒙」として括られてきた知識人の活動と言論は、政治思想史研究にゆだねられ、文学史の上ではもっとも敬遠された領域の一つであった。本研究では、文明開化における「教訓」(または「教化」)のあり方を実証的にたどり直すことによって、文明開化の表現の歴史、しいては前代と「近代」をつなぐ接点をいくつも浮き上がらせようというのが目標である。 具体的な研究対象として、明治初期から軌道に乗り、全国的に普及を果たしたいわゆる小新聞の代表的な一紙を取り上げ、その紙面において、和語(俗語))にはどのような漢字が当てれているのかを網羅的に調査し、整理を試みた。ここに提出する報告書の本文として、『絵入自由新聞』(東京発行)の明治15年から同20年にいたるまでの新聞本文を取り上げ、同本文みる和語(俗語)とその漢語表記を抽出し、時代順に並列した。雑報欄と続きもの(新聞連載小説の前身)に多用されるこれらの「当て漢字表記」は、該当紙が提唱する自由民権思想を背景として、庶民・若年層の識字率向上を志向したものでもあった。まさしく同時代における典型的な啓蒙メディアとしての役割を担ったのである。
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