研究課題
本年度は三年間の研究期間の二年目に当たり、前年度の準備を踏まえて、具体的な作業を推し進めた。1 中世に「萬葉」として引用されるテキスト群の集成・類聚について、(1)『一葉抄』の校定は、京都大学本を底本として、高松宮本・清水谷本の写真をもととして、各自分担して進めつつある。その過程で、高松宮本とされる渋谷氏校本の底本は、高松宮本をもとに漢字を仮名に開いたり逆に仮名を漢字に直したりした、一種の校定本文であるという、翻刻上の問題点も明らかになってきた。お茶の水図書館本については、直接閲覧の必要があるため、在京のメンバーを中心として作業を進めることを合意し、来年度集中的に行うことにした。(2)新校本作成作業は、『一葉抄』諸本の校定の進んだ所から、アルバイトによってデータを蓄積しつつある。現在、巻三〜五については、お茶の水図書館本を除き、ほぼデータが揃っており、他の巻についても、進行しつつある。(3)『一葉抄』以外に「萬葉」として引用されるテキスト群の集成・類聚については、なお以下の各所で調査・収集に努めた。調査地は、(1)9月17日(金)〜9月21日(火)、県立長野図書館、(2)12月19日(日)〜12月22日(水)、石川県立図書館(李花亭文庫)、(3)12月26日(日)〜12月29日(水)、石川県立図書館(李花亭文庫)、(4)平成17年2月4日(金)〜2月7日(日)、弘前市立図書館、(5)3月15日(火)〜3月18日(金)、松山市立子規記念博物館、(6)3月28日(月)〜3月31日(木)、松山市立子規記念博物館、等である。収集した資料の内必要なものについては、所蔵者の許可を得た上で、翻刻あるいは影印等で紹介するつもりである。2 連歌師による万葉集注釈書のテキストの整備については、宗祇の『万葉抄』や、由阿の『詞林采葉抄』などを中心に、調査・収集に取りかかった所である。3 以上の作業を円滑に進めるため、8月10日(火)に第1回(東洋大学)、12月19日(日)に第2回(石川県金沢市)、平成17年3月15日(火)に第3回(愛媛県松山市)の計3回、研究打ち合わせ会を開催した。
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広島女子大学国際文化学部紀要 12
ページ: 250-228
国語国文 73卷12号
ページ: 30-52
国文学 解釈と教材の研究 49卷12号
ページ: 54-60
セミナー万葉の歌人と作品 10
ページ: 86-99