研究課題/領域番号 |
15320035
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
御子柴 道夫 千葉大学, 国際教育開発センター, 教授 (10219610)
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研究分担者 |
長縄 光夫 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (60068757)
松原 広志 龍谷大学, 国際文化学部, 教授 (70131315)
白倉 克文 東京工芸大学, 芸術学部, 教授 (40308367)
清水 昭雄 志学館大学, 人間関係学部, 教授 (60248648)
根村 亮 新潟工科大学, 工学部, 助教授 (40242367)
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キーワード | 近代化 / グローバリズム / 多面性 / 包括性 |
研究概要 |
上記5名の他に8名の分担者全員が年2回(夏季と冬季)の研究大会で分担研究の実績を発表、ほかに原則月一回の定例会で協力者を中心とした研究報告を行なった。ロシア思想史を多面的包括的に再構築するというテーマに則し、18世紀後半から20世紀前半までのロシア思想史を、まず分野別に「歴史・社会」「宗教」「芸術」「文学」面から多面的にとらえる試みがなされた。その結果、従来わが国ではもっぱら思想家としてしか扱われてこなかったレオンチェフの小説にスポット・ライトが当てられ、逆に小説家としてしか論じてこられなかったプラトーノフが思想面からアプローチされた。また、ロシア正教会史の範疇の事件としてわが国ではほとんど手付かずだった讃名派の騒乱が思想ないし哲学面から解釈された。さらに象徴派の画家やアヴァンギャルド画家が哲学あるいは社会思想史の視点からの考察の対象となった。このように従来の思想史研究の既成観念を破る試みによってプロジェクトのテーマに掲げた多面的再構築という面で著しい進展を見ることが出来た。ただその反面、包括性という局面、すなわち時間軸でのロシア思想の把握という面が今年度の課題として残された。とはいうものの、18世紀のフォンヴィージンから20世紀のレーニン、イリーンに至るまでかなり広範なロシア思想家たちを研究対象とすることが叶った。この多様性を貫くキーワードとして、19世紀前半までは「近代化」、後半には「グローバリズム」の問題が立てられたが、それをめぐる問題提起は一部、セルゲイ・ソロヴィヨフとウラジーミル・ソロヴィヨフ父子のピョートル一世観を考究する代表者の研究に具現された。しかしこのキーワードはプロジェクト参加者の共通の認識となっており、初年2003年度の各分担者の研究にも随所に間接的にうかがわれたので、特にこの問題をめぐっての集中的な共同討議は最終年度の2006年に委ねられることになる。
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