研究課題/領域番号 |
15320037
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
浦田 和幸 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (50168762)
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研究分担者 |
川口 裕司 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (20204703)
黒澤 直俊 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (80195586)
岩崎 務 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (00151720)
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キーワード | 中世西欧文学 / 間テクスト / Boethius / De Consolatio Philosophiae |
研究概要 |
昨年度に引き続き、主にローマの哲学者Boethius(ボエチウス:ca.480-524AD)の代表作De Consolatione Philosophiae(『哲学の慰め』)に関して、一次資料(原文、翻訳)および二次資料に関する調査を進めるとともに、本作品の各種テクストを文献学的・言語学的観点から検討した。 ラテン語に関しては、『哲学の慰め』のラテン語写本および註解書の系譜と種類について、先行研究であるP.Courcelle, La Consolation de Philosophie dans la tradition litteraire : Antecedents et posterite de Boece (1967)やN.H.Kaylor, The Medieval Consolation of Philosophy (1992)、また、現在、継続刊行中のCodices Boethiani : A Conspectus of Manuscripts of the Works of Boethius (1995-)などを参照することによって概観した。そして、ボエチウスのこの著作に対する関心の程度、あるいは受容のされ方について、中世の各時期における変化を考察した。 フランス語に関しては、『哲学の慰め』の写本伝統を調べ、Jean de Meunによる有名な翻訳、および他の古フランス語訳と古プロヴァンス語訳の断片の異同などを中心に先行研究の渉猟を行った。 ポルトガル語に関しては、『哲学の慰め』の直接の中世語訳は知られていないが、14世紀末か15世紀にかけての作品にその影響があるとする説もある。特に、その時期に匿名の修道僧によって著された『夫の庭』(Horto de Esposo)はローマ哲学の伝統を継承し、ボエチウスにも触れている。本年度は、関連する文献の収集やテクストそのものの検討を行い、間テクスト的な観点からの分析並びに考察へ向けての準備を整えた。 英語に関しては、9世紀のKing Alfredの古英語訳、14世紀のGeoffrey Chaucerや15世紀のJohn Waltonの中英語訳、また、16世紀のQueen Elizabeth Iの初期近代英語訳の『哲学の慰め』を対象として、先行研究の調査を進めるとともに、テクスト間の異同について具体的な分析に着手した。
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