1)本年は初年度として、比較芸術論の基礎資料の収集に努め、データ整理の準備なども並行して進めた。 2)研究計画で立てた通り、本研究の前半2カ年問では、比較芸術論の具体的事例として「都市と郊外」を取り上げ、クロスジャンル研究の可能性を最大限に探っている。今年度は予定通り、その資料収集と分析のほとんどを終え、平成16年度中に成果を公に刊行する予定である。 3)本年度はすでに、比較芸術論を展覧会カタログから考えるユニークな試みを共著として出版した(今橋『展覧会カタログの愉しみ』東京大学出版会、2003年6月)。この出版を機会に、2003年7月5日東京大学にて学術シンポジウムを開催(「知の共有財産・展覧会カタログの現在」)。学内外300名を超す聴衆を得て発表および討議を行ない、全国紙等でもその意義が取り上げられるなど、十分な成果を見た。 4)11月にはパリ第7大学「エクリチュールとイマージュ研究センター」教授(所長)アンヌ-マリ・クリスタン氏を(COE関連事業で)招聰し、本研究と共同プロジェクトとして、セミナー2回、講演1回、シンポジウム1回を集中的に行なった。同センターはヨーロッパでも、比較芸術学的テーマを扱う唯一(と言うべき)の存在であり、クリスタン教授との専門的意見交換を行なうことによって、本研究テーマの重要性を再認識し、また具体的成果をすでに研究に取り入れている。
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