1)本研究四年間(平成15-18年)の目的は、文学と視覚芸術の相関関係全般に見通しをつけた上で、具体的および理論的総合研究を行うことにある。当初の予定として、前半二年間では<都市と郊外>を主題にして、具体的成果を上梓し、後半二年間で理論的成果をまとめることを申請した。 2)本研究二年目が終了するにあたり、申請者は上記の予定通り、下記の編著を公に刊行することが出来た。 今橋映子編著『リーディングズ・都市と郊外-比較文化論への通路』(NTT出版、2004年12月、469p.) 同書は、都市論と郊外論の必須論文選の形態を取りながら、二十年来の研究動向を分析・解説したものである。それと同時に、比較芸術論のクロスジャンル的手法を用いて、文学、絵画はもとより、写真、漫画、映画、ドラマなどに目配りをして、<郊外>表象のあり方を追究した点に新しさがある。本編著の仕事を通じて私は、芸術ジャンルが固有に見せる性格を、確実に記述する方法についても、新たな展開が期待できると感ずるに至った。
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