本研究は計4年間にわたる計画でスタートし、本年は最終年にあたる。研究は予定通り順調に推移した。まず前半2年間では、比較芸術論の具体的テーマとして「都市と郊外」を掲げ、文学、映画、写真、漫画などのジャンルの相違が、郊外表象にどのような可能性と、(逆には)規制をもたらすのかをつぶさに観察し、リーディングズとして集大成し出版した。 (今橋映子編著『リーディングズ・都市と郊外』NTT出版社、2004年12月、総頁520p.)後半2年間においては、テーマではなく、1人の芸術家においてジャンル越境の様がどのようにあらわれるかに焦点を当て、本年その集大成となる単著を刊行した(『ブラッサイ パリの越境者』2007年3月、407p.)。 本研究プロジェクトでは以上の二点の刊行本によって、比較芸術論が今後問題とすべき領域やテーマ、具体的表象について大いに明らかにしたと考えている。書誌面でも充実した充実した情報整理を提供でき、今後の研究に寄与できるだろう。 その他、本プロジェクトに関係して、『パンテオン会雑誌』についての共同研究成果('02-'04)、パリ第8大学エクリチュール&イマージュ研究所との学術協力('O3)、筑波大学大学院主催「高校生のためのアートライティングコンテスト」審査('05)、東京都写真美術館「ブラッサイ」展学術協力('05)なども行い、本研究成果を反映させた。
|